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ベンチャー企業はやりがい搾取か

2017.09.04 カテゴリ: 働き方・仕事術勉強術・仕事術・心がけ

少し前、求人情報サービス「Wantedly」を運営するウォンテッドリーが 米デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づいて8月10日発表されたIPOについて批判的な記事を削除したということで話題になりました。私もこれでかえって興味をもってこの記事を見てしまった1人です。ポイントとしてはダウンラウンド(上場時の株価がそれ以前の調達株価より低いこと)と「やりがい搾取」ですがダウンラウンドの相手側はVC(ベンチャーキャピタル)など(金を儲けたい方々)ではなく、日本経済新聞やエンジェル系などの旦那衆(長い目で見てくれる方々)のようですから「まぁいいんじゃない・・」と言った感じではないでしょうか?「やりがい搾取」の方は、ほとんど創業者の仲暁子さんがストックオプション独り占めで批判されていますが、上場に対する貢献度は外部からはなかなか分からないのでこれも一概には批判できません。ただ、株を一緒に分けたい仲間がいないというのは少しさびしい気はします。よく言えば仲さんの強いリーダーシップでここまで来た、悪く言えばあまり一緒に貢献した感がある人はほとんどいないということを一般的には示しており少し寂しい感があるわけです。(私は「Wantedly」関係者に知る限り知人はおりませんのですべて公表されている情報に基づく推測です)

 さて、ここから「やりがい搾取」についてです。ここから一部ベンチャー企業も「やりがい搾取」だよねと言う議論が少しおこっているようです。やりがい搾取については「日本の人事部」に記載されているので少し引用させていただきます。 「教育社会学者で東京大学教授の本田由紀氏は、すすんで仕事にのめり込み、充実感や自己実現を得ているように見える若年労働者が、実際は経営者側がしかけた、より少ない対価(雇用の安定性、賃金)で最大の労働効率を引き出すための巧妙なからくりにより、ワーカホリックへと突き動かされていると分析し、こうした搾取構造を「やりがいの搾取」と名づけました。」とあります。ただし、本田教授の指摘として 「歩合制のバイク便ライダーやケアワーカー、居酒屋チェーン店員といった職種には、(1)趣味性(好きなことを仕事にしている)、(2)ゲーム性(仕事の自己裁量性、自律性が高い)、(3)奉仕性(人の役に立ちたいという気高い動機)、(4)サークル性・カルト性といった特徴があり、それが強いほど若者は仕事にのめりこみやすく、自己実現のわなに陥る可能性が高い」ということをあげています。

 ここで興味深いのはどちらかと言うと一般的には意義を見出しにくい比較的単純と見られている労働に対し上記のようなからくりで「やりがい」に見せかけている点です。そして過当競争や公定価格等によって構造的にあまり賃金を出せない業種です。これを「自己実現のわな」によって滅私奉公させているというわけです。これはある程度経営者の意図は感じられます。しかし、私は冷たいようですがこれは一方で自分自身のキャリアプランの欠如があると思います。自分に与えられた仕事を懸命に遂行するというのは大切で素晴らしいことですがそれだけでは足りません。自分のキャリアプランの中で冷静に見つめなおして位置づけを定期的に再考するというのは大切です。

 一方ベンチャー企業においては、はっきり言って経営者は従業員のキャリアプランをきちんと考えて仕事を振るなどと言う余裕はなさそうだなと言うのが実感です。ベンチャーはそもそも従業員のそれぞれが行う仕事などは明らかに決められているわけではなくむしろ自分で切り開いていけることが利点です。当然会社のために目の前の仕事をひたむきに取り組むことも大切ですが、自分のキャリアプランを考えて仕事を選んでいく姿勢も一方で必要です。素直に言われてことを必死にこなす「いい子」は結果として搾取されるかもしれませんが、新卒はともかく2~3年も社会人生活を積めば十分わかっていなければならないと思います。仕事のプロであれば搾取される方が悪いかもしれません。逆にそういった意味で、従業員のキャリアプランを考える余裕がないレベルのベンチャーは新卒は取るべきではないと個人的には思いますが。

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