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スルガ銀行の不正の根本原因

2018.09.10 カテゴリ: 企業経営での留意点, 経営理念


 

 

 

     

    1.スルガ銀行の不正とは

 

 新聞紙上をにぎわしているスルガ銀行の不正ですが、簡単に言うと融資の中身をリスクの高いシェアハウスやアパートなどの投資用不動産に集中させ、その過程で審査資料の改ざん等が横行していたことにあります。銀行内部で本来はこのような不適正な融資がないか確認する機能に審査部や検査部がありますが、異を唱えるような審査担当は罵倒される等、力がなかったようで検査部にあたってはWebや新聞紙上でもまったく取り上げられてもいません。こういったことでずさんな融資で利ザヤを稼いでいたのですが、一方金融庁や経済誌などもシステム投資や独特のリスク判断に基づて高収益体制を築いてきたと持ちあげてきたので気まずいことは確かでしょう。

 

     

    2.会計監査や金融検査で分からないのか?

 

 スルガ銀行の会計監査人は内部統制の監査をしているわけですし、金融庁も銀行検査をしているわけで見逃した責任はないかと思っている方はいると思います。まず内部統制的な考え方でいうとこれは「統制環境」の問題でした。簡単にいうと「統制環境」とは内部統制を構築するにあたっての前提である企業風土や経営者の姿勢を言います。どんなに表面的に仕組みが整っていても、経営者がないがしろにする姿勢で社風的にも内部統制を尊重しないならば内部統制は有効に働かないわけです。今年の6月に提出された内部統制報告書で初めて内部統制の不備が報告されましたが、この中でも書かれているのは審査部門のチェックが有効に働かなかったという表面的な事実しか言及されていませんが、根本的な問題は統制環境でしょう。

 内部統制の監査において統制環境というのは本来重視されるものではあるのですが、外部の人間である会計監査人が数回の経営陣とのミーティングでそこまで見抜けるかは疑問です。また、おそらくスルガ銀行の例では「原始資料の改ざんをしてもどんどん融資しろ」といった方向性は明確な指示ではなく、忖度やあうんの呼吸で行われていたとみられるのでこれを見抜くのは難しいと思われます。金融庁の検査でも同じようなことが言えます。

 ただ、金融庁の検査はわかりませんが、公認会計士の内部統制の監査はマニュアル的に大量の資料を突合することに重点とほとんどの時間が割かれています。こういった機械的に大量の資料を突合するのではなく証憑自体の整合性などじっくり取り組む、統制環境を詳細に検討するといった方向に少しはいかないかというのが個人的には思われます。いろいろな部門の聞き取りで統制環境を把握し、その心証で資料をじっくり読みこむというプロセスを踏めば、端緒をつかめた可能性はあるとは思われます。ただし、現状の内部統制監査の決められた方向性ではまず無理だと私は思います。

 

     

    3.ガバナンスの欠如にどう対抗する

 

 経営者を監視する存在としては社外取締役や監査役といった存在があるわけですが、このような会社ぐるみの不正の場合見抜くのは同様に難しいと思われます。元マイクロソフトの成毛さんをはじめ著名人の社外役員を6人もそろえ表面的なガバナンスは完璧です。ただし、よく見るとビジネス系の方が多く公認会計士は一人もいないなど偏りが見られ、このあたりも経営陣の悪意を秘めた巧みな操縦が見て取れます。このような組織に風穴を開けるものとしては内部通報制度があると思いますが、第三者委員会の報告を見ると報復が恐ろしく行員は何もできなかったようです。こういった内部通報制度が形骸化していないかをじっくり見ていくあたりが私はこういった日本的組織的不正防止には非常に有効ではないかと思います。

 

 

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