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結果にコミットできなかったRIZAP

2018.11.20 カテゴリ: M&A, 企業経営での留意点, 経営戦略


 

     

    1.大幅減益の要因

 

 RIZAPが2019年度の決算で営業利益予想を230億から△33億と大幅に下方修正しました。メディア関係では業績予測という「結果にコミット」できなかったなどと書いていました。この中身を決算発表で見ると子会社の業績予測の下方修正が△72億、M&A関連が△104億、子会社構造改革費用が△83億です。ここから伝わるメッセージはすべて子会社がらみであり、本業は順調であるということ、子会社構造改革費用は一時的費用であり来年はない、一方これがうまくいけば子会社の業績も上向くわけで2020年度の業績は大幅に上向くということです。

 子会社の構造企画費用を見るとぱどのWeb関連事業の約2億円の減損、ワンダーコーポレーションでの店舗撤退や商品の評価損34億、太陽光事業については27.5億という金額は開示していますが具体的にどのような構造改革をするのははっきりわかりませんでした。

 

     

    2.気になる点

 

 現在グループ会社は85社で過去2年間で52社増加しています。すべてが問題のある会社だとは言い切れませんが、すべての事業の見直しがきちんと行われているのかという点が気にかかります。当然、業績が現在悪く財務的なインパクトの大きい会社から見直しているのだと予想されますが、これからも他の会社で構造改革が必要になりズルズルと構造改革費用を垂れ流すという可能性はあります。

 2つ目は本業への悪影響です。顧客は私の周りをみても割と高収入の知的レベルも高い方が多い印象があります。こういう方々はお金はあり、出すときはたくさんお金を出しますが非常にシビアな方は多いです。財務内容とかは当然気にしますから負の影響はさけられないでしょう

 

     

    3.根本的な要因

 

 私は「歪んだ結果にコミット」していたことが根本的な要因だと思っています。下方修正の原因としてM&Aの△104億というのがありますが、これは常識的に目標数字には入れてはいけないものです。少しこの部分見ていきます。なぜならばこの104億という数字はこれから買収する会社から生み出されてくるものなので、逆に言うと会社を買収しないと生み出されません。本来M&Aは被買収会社に対し詳細に調査して買収価額は妥当か、買収後のリスクはないか、自社とのシナジーはあるか、自社との文化適合性はあるかなど様々な要素を検討して行うものです。これが104億という「結果にコミット」しなければならないとすれば後で詳述しますが買収価額以外は目に入らなくなり、他の要素は軽視されるはずです。買収後うまくいかないのは自明と言えます。

 

     

    4.負ののれん

 

 そもそも買収を行うことで利益が出るのは負ののれんしかありません。非常に簡単に負ののれんを説明するとその企業の価値より安く買ってくることです。例えば15億の企業価値の会社を10億で購入できれば差引5億の利益を認識する、これが負ののれんの会計処理です。当然この利益にコミットしなければならならないとすれば他の要素を無視しても安く買ってくることに注力するでしょう。ダイエットのコミットに例えれば、極端な例えですが、ちゃんとした食事制限や運動ではなく、覚せい剤使って痩せるといった方式と言えるでしょう。

 当然企業価値より安く買収できるということは持っている資産を有効に活用されていないということです。そもそも「有効に活用されていない資産」は減損処理と紙一重ですから、かなりハイリスクなわけです。

 

     

    5.まとめ

 

歪んだ結果」にコミットすると経営は破たんするという好例だと思います。私はこういった数字を「醜い数字」と呼んでいます。数字にコミットすることは悪くないのですが「醜い数字」にコミットする=「歪んだ結果」にコミットするになってしまうわけです。

 

 

 

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