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エッフェル松川氏と海外出張の本当の効用

2023.09.07

目次

1.エッフェル松川氏をめぐる問題点

 松川るい参議院議員を団長とした自民党女性局38人によるフランス視察が大きな批判を浴びています。批判のポイントをまとめると、少子化対策の「視察」と名乗っている割にはスケジュールがスカスカで現地の関係者と会う時間も非常に短く観光旅行ではないかということ、「税金を使っていない」と開き直ったが、そもそも政党助成金からお金が出ている時点でこれは日本の税金であったこと、松川議員が自分の子供を連れていたこと、エッフェル塔の前でポーズをとった写真をSNSにあげるのはやや軽率な行為であったこと、などがあげられるでしょう。

 要するに誰がどう見ても単なる親睦観光旅行、たしかに自民党女性局内の親睦も大切だとは思うのですが、それだったら国内で温泉旅行でも行けば十分だったでしょう。

 私は別に松川議員への個人攻撃には興味がないのですが、結構多かった「海外視察なんて意味がなくオンラインで会議すれば十分、出張で観光する時間があるのはけしからん、視察の成果については分厚いレポートにして公開すべき」だというあたりに焦点を絞ってお話をしたいです。なぜならばこれは議員の世界だけでなく普通のお仕事の海外出張でも同様の論点は出てくるからです。

 

2. 観光は悪か?ギチギチのスケジュールにすべきか?

海外出張ですが、自腹ではなく、会社のお金や税金を使うのだからギチギチに予定を詰めるべきという意見も多いですが、それはあまり賛成できないです。世界中をいつでも駆け回っているような豪のものでもない限り、海外出張は慣れない文化や習慣でそれだけで結構疲れます。加えてアジア以外は時差が結構あり、時差ボケも相当きついです。

私も海外出張はいくのですが、欧米の会社のクライアントさんなどはむしろ早めに現地に行って観光してきたら的なことをおっしゃる方もあるくらいです。私も前泊の際、時間があれば昼間~夕方は観光をすることが多いです。

これは親切ということもありますがそれだけではなく、時差ボケ対策という側面があります。到着日などは、変に昼間頑張ってホテルで仕事していたりすると寝落ちしたりしてしまい夜寝られなくなったりします。むしろできるだけ日中太陽の光を浴びてこちらの時間にならすという効用があるのです。また、街を歩いて現地の人とそれなりに触れ合うとアウェイ感がなくなるという心理的効用もあると思います。ですから日本人だけの団体でぞろぞろと観光バスに乗って有名地をめぐるなどというのはこの目的から外れますよね。

 当然超一流のタフな国際人であれば別でしょうが、私のような年数回程度海外に行く一般的なビジネスパーソンは生産性を考えても、可能ならばあまりガチガチなスケジュールは組まない方が結局はいい仕事ができると思います。若いころは頑張ってガチガチに入れたこともありますが、慣れない環境、一日中会話はすべて英語、時差ボケでどこか緊張の糸が切れ、聞き落としや誤り感情的な反応などミスの原因になったと思います。

 一方、私も観光の写真をSNSなどにアップすることはあります。当然ですが、政治家のような公職ではないので仕事の内容や写真をSNSにさらすことはできないので観光と食事の写真ばかりになってしまうわけです。したがって、私は「エッフェル川井」ではなく日中はほぼ仕事です。

3.海外出張は無駄でオンラインで十分か?

 この自民党女性局の海外視察、今時現地に行く必要がない、オンラインで十分という話も結構ありました。確かに一般的なヒアリングであれば確かにオンラインで十分です。この海外視察で問題なのは38人もぞろぞろと引き連れた団体旅行であったことです。現地でヒアリングするにしても38人が相手に1時間程度の話をするとなればおそらく相手も表面的な話しかできないと思われます

 現地に行ってヒアリングをする、私もクライアントさんに申し上げたこともあるのですが効用は「ぶっちゃけどうなの?」という突っ込んだ話や侃々諤々の話ができることです。もし松川議員と(少子化なので)厚労省のキャリア官僚などの2~3人で現地に行って少ない人数でヒアリングをするのでしたら十分意義はあったでしょう。フランスの議員と松川議員であれば英語で不自由なくコミュニケーションできるでしょうし、外務省出身の松川議員であればフランス語での会話もできたかもしれません。当然事前調査もしっかりして、アジェンダなども事前に綿密に打ち合わせることが前提ですが。

 要するに現地で顔を合わせて話をするのは一般論ではわからない深い、隠れた問題点や解決手法などの話が聞ける、かなり込み合ったディスカッションができることに意義があります。したがって、政治家の場合「公開できない話」に意義があるので小学生の社会科見学ではないので「レポートを公開せよ」は本来の意味としてはないでしょう。

 やはり相手の顔色やしぐさでわかること、現地を視察して現場の人に突然質問をして明らかになること結構あります。ということで現場に足を運ぶこと意味はあるのです。

 確かに、オンライン会議が簡単にできる時代になり、わざわざ顔合わせをすることは減り効率は良くなりました。ただ、逆に直接会って初めてできることの本当の貴重さを皆さんやまた今回の「観光慰安旅行」に行かれた議員さんなどにも認識してほしいものだと思います。

 

 

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