経済紙(誌)を読めば必ず登場する「キャッシュ・フロー経営」「連結決算」「M&A」「税効果会計」「減損」「のれん」「新会計基準」といった言葉たち。
これらはマネジメントにも必須の知識ですが、経理・財務担当者以外の人には、大企業でも苦手とする人が多いのが実際のところです。
しかし最近は、時価会計の考え方が浸透したり、収益認識の方法が変わってきたりと、専門職でない方にとっても、避けて通れない「必須の教養」と言えるものになってきました。
一方で、こうした財務会計の知識を学ぶ手頃な書籍はまだまだ少なく、とりわけ営業現場などで使うレベルの知識をまとめた書籍はほとんど見当たりません。
そこで本書は、主に現場のマネジメントリーダー層に向けて、現場レベルで知っておくべき会計知識に絞って解説を試みたものです。
本書では、いささか難しい会計の理解を助けるために、事例を豊富に盛り込んだことも特徴です。
例えば、キャッシュ・フロー会計の解説ではアマゾン・ドット・コムやフェイスブック、M&A会計ではライザップ、税効果会計ではジョイフル本田、減損・資産除去会計では東芝など、事例をもとに学んでいきます。
本書を読むことで、毎日の経済ニュースや株式投資に向き合う姿勢に深みが増すことはもちろんのこと、経営層や顧客、そして部下に対しても、非常に説得力ある発言ができるようになるでしょう。
不祥事を防ぐ「守り」にも、適切に攻めていく「武器」としても使える、『現場で使える会計知識』をぜひ身につけてください。
目次
第1章 「教養」から「武器」になる会計知識
第2章 現場で使える キャッシュ・フロー会計
第3章 現場で使える 連結会計
第4章 現場で使える M&A会計
第5章 現場で使える 税効果会計
第6章 現場で使える 減損・資産除去会計
第7章 現場で使える 新会計基準
出版社からのコメント
◎著者より
そもそも本書が企画された発端は、私が東芝で行った広報部門を対象とした会計研修でした。
東芝といえば、不正会計問題で世の中から厳しい批判を受け、広報部門はその矢面に立ってマスコミ対応に追われた部署です。それ以降、部門として会計知識の習得を継続的に進めてくる中で、私もその一部をお手伝いする機会を得ました。
私が行ったのは、製造業でよく用いられる会計処理全般の解説とその処理における問題点について、細かい部分を捨象しながら、事例中心に学ぶ研修です。これが思った以上に好評で、「難しい会計処理がすんなりと頭に入った、もっと早く聞いておきたかった」との声を多くいただきました。
このように一流の大企業に勤めるビジネスパーソンにも、本来求められる会計知識の習得に苦労していることを痛感した私は、せめて経営の意思決定にタッチするマネジメント層に最低限知っておいてもらいたい知識をまとめる意義を強く感じました。それが本書を執筆する直接のきっかけでした。
もちろん、不祥事を防ぐといった「守り」のほかに、きちんと「攻める」ためにも、会計知識は必須です。自らの意思決定が財務会計上どのような影響があるのか知っている必要がありますし、そうした知識をベースにした説明ができるかどうかで説得力が格段に変わるからです。つまり会計知識は、マネジメントになくてはならない必須の教養といえるわけです。
ただしこの本では、枝葉の例外事項などは一切捨象し、大きな骨組みの理解に集中します。できるだけ抽象的な話ではなく、東芝をはじめ各企業で起こった実際例をかなりやさしく分解して説明したつもりです。本書で目指すのもそのレベルです。
繰り返しますが、本書では細部の厳密な説明は捨てて、骨組みを理解してもらうことに集中します。なぜなら、わからないところは経理などの専門家に聞けばいいからです。言い換えると、専門家にポイントを絞って聞けるレベルになる「10%の理解」がゴールと言えるでしょう。
それでは、「現場で使える会計知識」を学んでいきましょう。
内容(「BOOK」データベースより)
不正を未然に防ぎ、攻め所を的確に見抜く“財務戦略”の実践本。
著者について
㈱ハンズオン・CFO・パートナーズ代表取締役社長
1964年大阪府生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、テンプル大学経営大学院修了(MBA)。公認会計士、税理士。
大学卒業後、国民金融公庫(現日本政策金融公庫)を経て、アーサー・アンダーセン(現あずさ監査法人)、日本コカ・コーラ、GEの外資系企業3社に勤務。
財務・経営企画担当ディレクター、米国本社経営企画担当マネジャーなどを歴任した。
その後日系ベンチャー企業(上場、非上場含む)でCFO(最高財務責任者)や米系大手コンサルティング会社で経営コンサルタントとして活躍後、独立開業。
ベンチャー・外資系企業の事業計画、PMI(買収後統合計画)、会計・税務のコンサルティング業務、講演・セミナーなどを手がけている。
著書に『外資系エリートが実践する「すぐ成長する」仕事術』(日本実業出版社)、『部長の仕事術』(明日香出版社)がある。