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好業績のしまむらの秘訣とは

2023.10.12 カテゴリ: 企業の業績分析企業経営での留意点

目次

1.しまむら最高益と商品力

 しまむらの2023年3〜8月期連結決算ですが、売上は5%増の3175億円、純利益が前年同期比2%増の209億円となり同期間で最高益になりました。賃上げや諸物価の値上がりの中でなかなか増益を確保するのは難しい時期だったと思われます。ただ、この好調さの中身を見ていくと割と着実に一つ一つまじめに手を打っていた結果の積み重ねという感が強いです。その中身を見ていきます

 売上は増えていますが要素としては単なる70周年祭の集客や拡大ではなく既存店の売上が増えていることの要因が大きいです。この既存店売上中身を一番主要なカテゴリーであるファッションセンターしまむらで見てみると客数は前年比100.1とほぼ横ばい、買い上げ点数は97.2と減少、しかし客単価が105.1で一店当たり単価も108.4と大幅に伸びています。つまり高価格帯の商品が売れた商品力の結果といえます。

 高価格品としては高機能な涼しさを打ち出したPB(プライベートブランド)やJB(ジョイントデベロップメントブランド:サプライヤーとの共同開発)の割合を戦略的に増やしている点があげられると思われます。また、高単価ですから粗利もよくなります。

 加えて、高単価を保つためにはいわゆる在庫処分の安値を防止する必要があります。そのあたりのコントロールはどうなのでしょうか?

2.在庫のコントロール

 いくら高単価の商品を提供しても売れ残って在庫がたまってしまえば意味がないですし、また、在庫を残さないようにコントロールしても在庫処分の安売りを連発してしまえば利益は落ちていきます

 そういった意味でのコントロールの指標として交差率=在庫回転率x粗利率という指標を使っています。在庫回転率が1年間どれだけ在庫が回転したか(1年間の売上原価÷平均在庫高)、回転が多いほど在庫が早期にはけていることをしまします。これに粗利率をかけたものが交差率です。粗利が高い高単価の商品でも売れ行きが悪ければ在庫回転率は下がりますからこの交差率は下がりますし、売れ行きが良ければこの数字はすごくよくなります。

 粗利率は20年2月時に31.9%から23年8月の上半期の33.7%まで一貫して上昇している一方、商品回転率(しまむらの表現)20年2月の6.22から7.29とこちらは多少凸凹がありますがほぼ上昇トレンドです。その結果この交差率も20年8月の198.3%から245.7%と大幅に改善しています

 つまり、商品力とともに在庫管理も磨き上げしっかり利益を上げる仕組みができているということです。ただ、こういった仕組みを構築するのに販売や管理のためのコストがかかっていては元も子もないです。それでは販管費はどうなっているのでしょうか?

3.販管費のコントロールと死角はないか?

 販管費については一言でいえばメリハリの利いた販管費コントロールといえるでしょう。人件費は正社員・パートとも賃上げを行ったため前年比6.9%増加しています。また、EDP費はDX化を目指し60.9%と大幅に増加しています。その一方、広告宣伝費などは2.8%増と低めの増加、そして設備費関係は1.5%の伸びに押さえています。

 特に設備費は水道光熱費の上昇で小売・飲食業などはどこも苦労していますが、補助金もあったようですが電気使用量の削減などにより巧みに抑えたようです。設備費の小幅な上昇には出店も41店あったが退店も26店おこないスクラップアンドビルドもしっかり行い賃貸料は減少前年比0.3%減少していることもあるといえます。

 

 このように効率的でかつ筋肉質な体質をどんどん追求しているといえます。ただ、効率一本だと限界があると思われどこかで鈍化していくでしょう。好調な台湾だけでなくほかの地域の進出も行い面で増やすのか、ファッションセンターしまむらだけでない、アベイル(ヤングカジュアル)、バースデー(子供服)のような広い意味での商品を増やしていくのか?次の一手は重要と思われます。

 

 

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