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AI時代の経営について思ったこと

2018.01.04 カテゴリ: 企業経営での留意点経営戦略

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。年末年始はわりとのんびり過ごしました。その中でAI時代が到来する中どのような経営が求められるのかということを少し考えてみました。この手の本もあまり読んでいなかったので何冊か購入したのですが特に興味深かったのは「AI経営で会社は甦る」(冨山和彦著)でした。

私は今までAI時代が来たら勝者は当然、「とりあえずやっちゃえ文化」のAGFA的な企業(Amazon、Google、Facebook、Apple)が世界を席巻すると思っていました。この「とりあえずやっちゃえ」文化はどういうものかと言うとMicrosoftのWindows 10の出し方をみるとイメージが湧くと思います。Windows 10など平気でプロトタイプ的なものを世の中で出しますが、それからすごいスピードで改善していってあっという間に完成度の高いものを作り上げていくというものです。対照的なのは日本の製造業でとにかく発売までに社内でかなり論議、つくり込み、検査をして1000個に1個も安全で壊れないようなモノをうみだす「しっかり、きっちり文化」です。前者の場合現場での顧客からのフィードバックがすぐ得られるので改善スピードが速い一方、後者は社内でこねくり回しているのでスピードは遅いし、顧客からは離れたものが出来がちです。特にこれでほぼ日本企業で滅びてしまったのが家電ではないでしょうか?

ところが冨山さんはこの「とりあえずやっちゃえ文化」(注:これは私の造語)はCasualな世界(SNS、ゲーム、家電)では通用してもSeriousな世界(医療、介護、車)などでは通用しないと述べています。確かにゲームでうまく動かなくても少し参ったなと言うくらいですが手術中に医療機器が誤作動したら人が死んでしまうかもしれません。いわゆるシリアス度が今後AIが入ってくると思われる分野は違ってきます。そういった意味で日本企業のハードにおけるメカトロニクスの強さと「しっかりきっちり文化」は強みになっていくとは思われます。とはいっても当然ソフトの部分を巧みに取り入れていかなければ勝負になりません。これを社内で「しっかりきっちり」作りいこんでいたらおそらく海外の競合は遥か先に進んで行っているでしょう。そういった意味でソフトの部分は社外のリソースを使って、モノの作りこみは社内できっちりしっかりやっていくような「オープンとクローズドな部分を分けるハイブリット経営」(冨山氏)が確かに必要になるのでしょう。冨山氏は米国のソフトウェアアルゴリズムと日本の堅牢なハードの世界の統合は相性がいいので日本のハードウェアメーカーは巧みにソフトウェアの部分を買収やオープンイノベーションで取り入れていくことで日本企業にチャンスは到来すると述べています。

 ただしこれは裏返してみれば米国企業も日本企業を買収する、高給で日本の技術者を囲い込むなどで可能なわけですからこれはどちらが主導権を握るかで勝負は決まると私は思います。と言っても未だに社員の副業さえも「社内の機密が社外に漏れる」などと言っている閉鎖的な企業が多い日本ですからこの辺りのトップ層から考え方を変えていただかないとまた失われたXX年が到来してしまう恐れは大いにあります。日本企業も「とりあえずやっちぇ人間」と共存しないといけませんからこの組織運営は考えないといけません。

 私も個人的に知人などに頼まれて「AI時代の管理職の在り方」の研修などを共同開発中です。個人的に私は人の意識を数時間(または数日)の研修で変えるのは難しいと思っています。しかし、ある一定の型、例えば仕事の進め方などを取り入れることによって自然に思考方式が変わっていく可能性の方が高いと思っています。そういった意味で「ハイブリット経営に対応した仕事の進め方」などは面白いと思っていますのでご興味のある方はお声掛けください。

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