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GEはなぜデジタル化でうまくいかないのか?

2018.10.15 カテゴリ: 企業経営での留意点経営戦略

1.残念ながら予想通りであったGEの社長交代

 少し前になりますが10月1日GEのCEOであったジョン・フラナリー氏が退任することとなりました。そして、GEの歴史の中で初めて外部から米産業機器大手ダナハーのCEOを務めたローレンス・カルプ氏を招聘しました。今年6月に110年間守ってきたダウ工業株30種平均の構成銘柄からはずされ、17年12月期と18年12月期と2期連続の大幅な連続赤字を計上する責任を取った、基本的にリストラクチャリング中心で将来の方向性が今ひとつよく見えない、このあたりが解任の原因とマスコミは伝えているようです。

 ただ、以前フラナリー氏CEO就任の際、手前みそではありますが以下のように以前からこのブログでも、うまくはいかないのではないかと予測していました。

https://hands-on-cfo.com/blog/256/

2.GEのデジタル化はなぜうまくいかない

 表面的にみると電力や金融部門の不振などが伝えられているのですが、根本的な問題としてはデジタル化の波に乗れていないことがあるのではないかと思われます。比較的事業構造が似ていて比較されるのが独シーメンスですが派手さはないものの堅調で第三四半期も12億ユーロ程度の純利益を出しています。また、オープンなIoTのプラットフォーム基盤ということではかなりシーメンスは導入実績という面でもGEに差をつけています。

 GEの場合、航空機エンジンをはじめかなり早くからIoT 的な考え方あったような気がします。しかし、逆に自社サービスとして始まったため、かえってオープンなフラットフォームとして売り込む方向には遅れてしまったのではないかと想像します。つまり航空機エンジンなどはGEではIoTを使って、顧客とGEにとって効率的にメンテナンス業務を行っていました。いわゆる自社サービスとしてIoTを活かしてはいたのですが、その仕組みを外部に売るといった汎用性に欠けていた可能性があります。

 逆にシーメンスの場合はMindSphereというオープンプラットフォームとして産業機器メーカーなどに仕組みを売り込むことに成功してデジタル化の波にうまく乗れているのではないかと思われます。

3.GEの文化とデジタル化

 GEの文化を考えてみると、とにかく真面目で誠実なことが尊ぶことがあります。きちんと計画を立てそれをきちんと誠実に確実に実行する文化があります。すべてに徹底することが求められいい加減なことは許されません。一方デジタル産業はどちらかというと「とりあえず何かやってしまい、あとから修正していけばいいや」というある意味一定のいい加減さが必要です。こういったデジタル化ビジネスにGEの文化はあまり適合していない気がします。

 私も残念ながらきちんとした処方箋は出せないのですが、こういったGEの文化を活かしたビジネスモデルの再構築をするのか、それともこういったGEの文化を叩き壊すのか、今その分岐点に来ている気がします。カルプ氏はどっちの方向に行くのでしょうか。このあたり解決できなければおそらくまた短期政権になるのではないかと憂慮します。

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