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求心力が働くグループ会社経営に必須なたった一つのこと

2018.12.24 カテゴリ: グローバルビジネス企業経営での留意点

1.ありがちなグループ会社経営

 残念ながら会社が大きくなってくるとまとまりが無くなってくる、求心力ではなく遠心力が働いてくる会社が多い気がします。これは日本企業、欧米系グローバル企業共通です。一つの解法としては地域統括本部を設けている企業は多いようです。しかし、地域本部は、日本国内企業だと九州本部、中国本部・・・など欧米企業だとAPAC(アジア太平洋)本部などを開設する例が多いですが、上意下達傾向が強く、特に現場の方々からするとつまらない報告をこまごましなければならない、現場感のないトンチンカンな指示がくるなど、盲腸のようなセクションだと感じることが多いようです。そうでなければ特に日本企業に多いのですが、適当に報告をまとめるだけで何もしないほぼ放置状態の部署であるケースもあります。

2.本来のグループ会社経営とは

 グループ会社経営を行う場合、本社(コーポレート部門)や地域統括本部は当然本社の方針をグループ内に浸透させ、地域内の情報を集めてマネージメントに報告する役目もありますが、各現場のサポータ的に各グループ内の経営資源をうまく分け合い、一体感を持って働くことの喜びを生み出す役割が本来あるわけです。

 当社もグループ会社経営のコンサルティングという点では当然報告体制の整備ということも大切だと思っているのですが、本来のゴールとしてはお客様に遠心力ではなく、求心力が働くグループ会社経営を目指していただいております。

 ここでは、一つグループ経営の在り方の例として当社で地域統括本部とともに行ったプロジェクトをご紹介します。ただし、守秘義務の関係で設定等は事実とは多少変えておりますのでご容赦ください。

3.あるグループ会社の例

 ある欧米系グローバル企業のアジア地域統括本部からのご依頼で当初は日本の財務経理部門からの報告体制の見直しをしてほしいというものでした。しかし、プロジェクトを始める前日までにその企業で1人を残して全員該当部署の人間が退職してしまい決算さえできない体制となり、そもそもプロジェクトさえ始められない事態となりました。状況が明らかに違うためお断りしようと思ったのですが、特に日本法人のマネージメントの方々からは何とかしてほしいとお願いされたため成り行きで受託することなりました。

 リソースもゼロの状態なので途方にくれましたが、まず始めたのはアジア地域統括本部に危機的な状況を伝え全面的支援を取り付けることでした。幸い地域到達本部の担当者はよく理解してくれ日本本部支援のためのミニプロジェクトチームの構築支援をしてくれることになりました。

 まず、本社(コーポレート)財務、IT、地域統括本部、南米の会計処理集中センター、そして地域内の他国の財務部門からコンタクトパーソンを選定し、電話、メール一本で疑問点・問題点について回答する仕組みを構築することができました。加えて他国から2週間くらいサポートスタッフを派遣してもらうのと同時に、日本側でも素晴らしく優秀な公認会計士のパートナさんに来ていただき、すべて報告体制を構築するための仕組みの文書化と実行を平行してやってもらいました。

4.地域統括本部とコーポレート部門の役割

 結果的にほぼ日常業務は大きな支障が出ない程度には1か月程度で回復し、報告については以前よりはるかに明確でよくなったと地域統括本部の社長様からは感謝されました。ただ、一番喜んでいただいたのは一つのグローバルチームで働くことの一体感、喜びをチームメンバーが体感できたということでした。コーポレート部門や地域統括本部というのはついつい単なるメッセンジャーで上意下達でマネージメントの指示を伝える一方、様々な報告や説明をやたらと現場に求めるといった面倒な部門といった印象が現場的にはあります。また、やたらと縦割りで自分の部署にか関係ないと知らんぷりといった感は強いです。

 こういった部門が企業の文化を体現して、現場でのサポートの際には積極的にハブやリーダー的な役割を示すとグループの求心力は強まります。まとめると、こういったコーポレート部門は組織図を書くと上側にあり、現場を管理するといった側面が強調されがちでが、サポートスタッフ役割も重要であるという事です。

 よく「コングロマリットディスカウント」という言葉で様々な事業部門があるグループ会社は遠心力が働き企業価値は低くなるといわれてます。私としても、お客様のグループ会社経営の経営管理的側面だけではなくサポート的な面の強化を図ることによりグループ会社経営をしなやかで強い体制の構築に貢献していきたいと思っています。

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