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相次ぐ品質偽装問題について

2018.11.12 カテゴリ: 企業経営での留意点経営理念

1.日本を代表する製造業で相次ぐ品質偽装

 先日もSUBARUでデータ改ざんが再び発見され、その他日立化成、日産自動車、神戸製鋼、KYBなど様々な品質偽装は毎日のように新聞紙上をにぎわせており、正直私もほとんどキャッチアップ出来ないくらいな感じです。細かい部分の相違はありますが共通点はあるかと思います。それはこのような偽装が現場の「あうんの呼吸」で行わている点です。この点欧米グローバル企業でのこの手の不正は上層部からのかなり強い意向を感じる一方、日本の場合経営陣は気づかなかったといってよく批判されていますが、これ自体は事実ではないかと思われます。

2.根本的原因

 逆に欧米系の大企業ではこのような現場での検査不正はあまり多くない気がします。一つ上げれば良くも悪くも欧米企業は縦割りな部分があり検査部門は「検査」が基本的な役割ですから他の部門に忖度して、例えば検査で不合格になるとやり直しでコストや手間がかかって納期に遅れるかも・・・などは考えることもありません。よく言えば日本企業の他部門をおもいやり融通の利く部分がマイナスに作用したといえます。

 加えて、欧米系の企業はとにかく「仕組み」で運営していますから、少なくとも検査結果は改ざんできないような仕組みをつくっています。検査データが出たらそれで原則自動的に判断され、たとえ人間の判断が必要だとしてもある程度責任ある人間が判断しないとできない仕組みになっており、特定の責任ある人間が責任を負うことになります。すると当然その人間もなかなか不正には踏み切れないものです。

3.今後の不正防止には

 残念ながら経営陣の不正後のコメントを聞くと「現場に品質管理の意識が欠けていた・・」といった「意識」や「文化」に焦点を当てたものが非常に多い気がします。「意識」や「文化」は偉い方が現場に行って数時間お説教すれば変わるかというと、そんなことは絶対にありません。「意識」や「文化」を創る責任があるのは経営陣であって現場ではありません。それでは「意識」や「文化」はどうやって創るのでしょうか?

 これは以下の3つだ思います。「カネ」「手間」「仕組み」の3つです。まったく経営陣がお金もかけず、手間も割かず、仕組みも作らなければ変わりようもありません。コスト削減も大切ですが必要なカネは投下しないといけませんし、品質管理関係の会議に役員層は誰も興味を示さず、手間も割かないでは「意識」「文化」は生まれようがありません。そして、人の「意識」も大切ですが基本は「仕組み」でまずは防止することが原則です。

 このあたりきちんと考え直さないと今後も不正はどんどん出てくるような気はします。

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