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実は日本の発展を妨げている日本の士業

2018.01.29 カテゴリ: 社会問題

 

 先日ある海外企業の日本進出を助けている企業の方からお話をお聞きして結構ショックを覚えました。政府も対日投資を生み出すためにさまざまな施策を行ってはいますが、結構ピントがずれたものが多いというのがあります。その中の一つとして分かりやすいのが会社設立関連の施策です。未だに改善は牛歩です。スピードを重視する海外企業からすると日本の手続きはとにかく非効率で時間がかかるというイメージが強いようです。会社設立をする際、一般的にはまず①印鑑を三種類用意する②設立の書類準備(登記申請書や定款などたくさんあります)③公証人役場で定款認証④銀行口座にお金を振り込み⑤法務局に登記申請⑤謄本を法務局で取得⑥以下の役所に書類を提出ア)税務署イ)都道府県税務事務所ウ)社会保険事務所エ)その他許認可(飲食業や建設業など)が必要なお役所といった手続きが必要です。面倒だというのもありますがそれぞれで時間がかかり2~3週間はかかってしまいます。また、設立手続きは司法書士、定款認証は公証人(元弁護士)税務署関連は税理士、社会保険関連は社会保険労務士、許認可は行政書士といった形で5種類の士業の関与が必要です。笑い話ですがある公的機関がワンストップ窓口を設けたというのでそこにある外国人の方が訪問したところ、確かに部屋は一つでしたが、その中は弁護士、税理士、司法書士・・・などずらりといらっしゃって、部屋が一つ(ワン)なだけで、ストップ(行くところ)はたくさんあったとのことです。

 そもそもこんなにやたらと士業の種類が多いのは先進国の中では日本だけと聞きました。確かにアメリカでは弁護士と公認会計士以外の士業はありません。弁護士が行政書士、司法書士、弁理士、社会保険労務士の労務関連をカバーしていますし、公認会計士が税理士や社会保険労務士の給与関連の部分をカバーしています。私も士業で恩恵を受けている身なのですが、士業の業務独占は名目は一定の品質保証が目的とされていますが単なるタコツボ的既得権益ではないかと思う部分多々あります。上記で挙げた士業についてはやたらと試験を難しくして参入を絞って既資格取得者を守っているというのが本当ではないでしょうか。例えば本当に試験で質を保つのでしたら税理士試験で「相続税」合格していない人間は「相続税」の申告をしてはならないはずですが、別に合格してなくとも質の高い相続税関連のお仕事をされている税理士の方はたくさんいらっしゃいます。

 多分弁護士と公認会計士以外の資格は不要だと思います。ただ、これは別に税理士・司法書士・社会保険労務士などの先生の仕事が不要と言うわけではなくただ単に名称と業務独占を必要最小限に絞ろうという話です。別に日本語名税理士で英語表記CPAでも構わないわけで、会計系と法律系の資格を一本化してみなが幅広く仕事ができるようにするということです。幅広く業務ができ、選ぶのは士業の方と顧客です。おそらく、顧客としては創業専門、事業承継専門、事業再生専門と言ったくくりで専門家を頼みたいわけで、会計士と弁護士と司法書士と・・・と言ったくくりで頼みたいわけではありません。

 我々士業は質の高いサービスを提供して世の中の発展に役立っていると思っていましたが、我々の業務独占が実は日本の発展を妨げている一つの要因になっているのではないかと言うのは正直私にとってもショックな話でした。私自身は立場上積極的に制度を壊す主体にはならないと思いますが、少なくとも業務独占の既得権益にあぐらをかいたような仕事は行わないように留意したいと思った次第です。

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