業績で苦戦しているデフレの味方 -吉野家、鳥貴族の業績修正
2018.10.01 カテゴリ: 企業経営での留意点、経営戦略。
目次
1. デフレの味方が苦しいでいる
デフレ時代の味方ともいえる低価格の飲食店が現在苦戦をしています。数日前吉野家が通期の業績予測を見直し、経常赤字に転落しました。その他松屋、ゼンショーの他の牛丼2社も四半期決算では減益、中華料理のハイディも減益、鳥貴族は値上げ後既存店顧客数が下げ止まらず、ここも通期業績の修正をしました。なぜここまで苦しんでいるのでしょうか?
2.主な苦戦の原因
どの企業も共通しているのは人材確保の難しさとそれに伴う人件費の上昇です。そして全般的に既存店売上高の減少にも悩んでいるところが多いです。外食や小売業の場合新規に出店すれば当然売上は伸びます。そこで、指標として新規出店部分と既存店部分分けて管理することが通例となっていますが、既存店売上が減少するということは客離れが起こっているということです。
全般的に値下げしたところはほぼないので客数の減少が主な原因で、今回人件費の上昇に伴い値上げをしたものの客が離れてしまったというところがあり、鳥貴族などはその典型です。少し見てきましょう。
3.鳥貴族の方策
鳥貴族の決算資料を見ていると既存店の客数の減少で一番多かったのはファミリー層の減少のようです。値上げはファミリーの場合負担人数が多いので家計のインパクトは大きいので理解はできます。ただ、重視しているのは20~30代の若手の会社員といったコア顧客層の減少です。
分析によればコア顧客層において鳥貴族の認知が浸透していない潜在顧客層があるようで、そのため既存顧客層の呼び戻しとともに、潜在顧客層の掘り起こしを狙っているようです。
ただし、決算発表において示された方策がメニュ―の開発や店舗ごとのPDCAの徹底や接客調理技術の向上といったやや抽象的な表現なのでその効果の行方についてはよく私にはわかりません。ただ、原点に返って地道にやろうという姿勢は見えました。
4.密かな勝ち組マクドナルド
あまり密かとは言えないかもしれませんがこのような中でも既存店売上高が33か月連続前月比プラスなのがマクドナルドです。マーケティングの上手さ、特にPRやSNSを巧みに使った方式は注目に値します。ポケモンGOとのコラボや月光バーガーなどユニークなキャンペーンでどんどんSNSも含めた口コミを増やしています。
他の外食各社は割と地道な回復策ですがマクドナルドのような巧みなキャンペーンなどを使い口コミを増やしていくような方策も一考に値すると思われます。