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数字が語る鳥貴族の苦戦の本当の原因

2019.01.21 カテゴリ: 企業の業績分析企業経営での留意点

1.鳥貴族の財務数値

 鳥貴族の苦戦が続いています。第一四半期決算(2018年8月~10月)では売上は89億と前年比10%伸びたものの営業利益は136百万円と前年同月比65%の大幅減益でした。変調は昨年度の決算から始まり、24店舗の不採算店において5億円の減損損失を計上して純利益が662百万と約32%の大幅減益となりました。これについては昨年10月の280円から298円への値上げが理由とされています。売上が伸びているのだから値上げが原因ではないのではと思われる方もいらっしゃるかもしれません。実際のところどうなのでしょうか?

2.既存店売上高とは

 この影響を分析するために「既存店売上高」という数字を用いることが小売・飲食業界では多いです。売上が増加している場合、それが新規出店によるものなのか、既存の店での売上げが伸びているのか分離するわけです。新規出店で売上が増えるのは当たり前ですから既存店での売上げが伸びていないと、その取扱い商品・サービスが魅力がないということになるわけです。

 この既存店売上高の推移を見ていくと昨年の10月の値上げから一進一退ですが今年の1月からは12か月連続で昨年対比で100%割れとなっておりマイナスです。本来値上げ戦略とは客単価の上昇で客数の減少を補うという戦略なのですがこれがマイナスというのは一般的には値上げの失敗ととらえられます。雑誌の記事などでは値上げの失敗で価格を元に戻すべきなどと取り上げられています。本当でしょうか?

3.数字が語るもの

 既存店売上高の低下は大きな問題でありこれは今後業績を圧迫していくことは確かです。しかし、売上総利益ベースでは上昇しており業績という側面だけですとそれは直接の影響はさほど大きくありません。2017年度本決算で少し細かく見ていきましょう。すると売上販管費比率は確かに63%から64.7%に上昇しています。それをもう少し分析していくと実は人件費より家賃や減価償却費の売上に対する割合の方が大幅に上昇しています(それぞれ7.4%→7.9%、3.7%→4.0%)。

 この数字が語るものは何でしょうか。あくまでも仮説ですが不採算な店が増えたということです。大量出店の陰で以前より不採算な店が増えていることが一番の原因だといえるわけです。したがって、大倉社長がおっしゃっているように店舗改革というおおまかな方向性は数字で見る限り正しいわけです。ただ、内容によっては大胆な閉鎖撤退ということも必要かもと思いますがそこまでは、有価証券報告書などのざっくりした数字では読み取れません。

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