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この点だけは気を付けてほしい副業解禁

2019.05.20 カテゴリ: 人の育て方企業経営での留意点働き方・仕事術勉強術・仕事術・心がけ

1.副業解禁

 今朝5月20日の日本経済新聞で大手企業にアンケートをとったとところ、回答をえた120社のうち約5割の企業が従業員に副業を認めていることが分かったと報じていました。厚生労働省の「モデル就業規則」でも「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」の規程を削除しています。

 ただ副業を認めているという回答の中には「副業についての制度はないが申し出などに応じて認めている」というものもあり、とりあえず実質的には許可制のところも多いようです。

 副業を解禁している企業の目的としてモチベーション向上、セカンドキャリア育成、イノベーション創出などを意図しているようです。当然会社の機密事項を持ち出すといった副業は絶対禁止だと思いますが、やや副業といってもいろいろな議論が錯綜していると思っています。以下の図のように少し整理してみました。

2.時間に比例して収入が増えることは望ましいか?

 自分の本業例えば営業、経理、人事などと副業が近い内容なのか、そして副業の収入と働いた時間の比例度というもので副業を見ています。明らかに企業にとって望ましくないのはAの象限でかつかなり左上の部分と言えます。これは従業員としては生活費(人によっては遊び金かもしれませんが)補助の要素が強くなります。

一般的に本業から遠く、労働時間との比例度が高い仕事はアルバイト的な仕事が多いといえます。いわゆる比較的単純な肉体労働やサービス業です。低付加価値の仕事が多いですから無理をしないと稼げません。やはり昼間働いている社員が夜間道路工事で働いたり、夜中のコンビニなどで働くと本業に差し支えてしまいます。

 では本業に近い場合はどうでしょうか?この場合一番のメリットは自分の本業でのスキルが他社などでも通用する汎用的なものなのかがよくわかる点です。そして、一方違う環境で自分のスキルを試すことで、より自分の仕事で気づきが生まれたりスキルが磨かれるという効果があると思われます。ただし、これも生活費補助の視点が高くなり時間に比例した低付加価値労働を長くやると本業に差し支えます。

3.イノベーションを生みやすい副業とは

 逆に望ましいのはDの右下の部分だと思われます。どちらかというと時間に比例しない創造的な仕事を行うわけですから、企業にとってモチベーション向上やイノベーションの創出に役立つわけです。加えて、イノベーションの創出という面から考えると別に本業から離れたCの分野もかまわないわけです。Googleや3Mなどの企業が副業ではないですが20%程度の時間を本業とは関係ない部分に使うことを奨励しているのはこのような効果と考えられます。

4.副業議論の錯綜

 労働基準法の観点もあり、副業に使う時間を会社で管理しようという動きもあるようです。しかし。これはどちらかというと上の図でAやBの図のかなり上に位置する種類の副業の話であり、CやDの下の部分で副業をしようとする方にとっては関係のない話です。

 確かに図の上の部分に関しては長く働けばそれだけもらえるお金が増える、特に低付加価値の仕事だと長く働かないともらえるお金は増えませんから過重労働の可能性は残ります。

 一方、創造的な仕事をする方にとって場合によっては、土日などの休日などの時間のほとんどを費やしたとしても疲れない、むしろリフレッシュして本業にもプラスになることもあるかもしれません。

 こういった意味で副業の議論はかなり性質の違う仕事を一緒にして議論しているように感じられてなりません

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