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辞められると困る社員が求める社員教育のカギとは

2024.07.29 カテゴリ: 人の育て方企業経営での留意点働き方・仕事術勉強術・仕事術・心がけ経営理念

目次

1.辞められると困る社員とは

 いろいろな最近のデータを見ると、新入社員は3割、中途採用社員は5割が3年以内に退職すると言われています。しかも、外資系コンサル会社のように厳しいセレクションで落ちていくというのではなく、特に新入社員の場合、期待されていた社員が辞めてしまうという人事上の問題となっています。

 ちなみに私は「昭和のサラリーマン」でこれは精神がどこか体に染みついてしまっているような気がします。とにかく上司に言われたことは絶対、残業・徹夜いとわずやるのは社会人として当然と思っていました。忠誠心とハードワークが第一で、ある程度上司に言われたことを忠実にハードワークでこなせば成果が出た時代だったからでしょう。今はそんな単純な時代ではないことは頭ではわかっています。上司や会社の大きな方針は守るとしても自分の頭である程度考え、自律的に動きつつ周りもうまく巻き込み、仕事を推し進めていくようなタイプが成果を発揮しています。

 一言で言うと「仕事に対し意識が高い」タイプが求められるようになりました。意識が高いので逆に言えば仕事を通しての学びを大切にしています。上司から言われたことを淡々と忠実にこなす仕事ばかりで学びがないと腐りやすいです。そして、キャリア志向で感度が高いだけに外の世界にも目移りしやすいといえます。そして、転職エージェントのリストにも載っていてコンタクトがあったりするわけです。現代の辞められると困る社員で結局他社に転職してしまう典型的社員といえます。

 一方、上司に言われた仕事を着実にこなしていく安定感のある人材、軽視されがちですが決して疎かにしてはいけないとは思います。ただ、比較的辞めにくい層なので今回の話からは除きます。

2.仕事を通じて自分を成長とは

 「仕事に対し意識が高い」ので「意識高い系」ほどではないですが、承認欲求というものはある程度満たす必要あります。きちんと会社は自分のことを評価し、高いレベルに育成していく意思があるかに関しては敏感といえましょう。社員教育をある程度きちんと行う日本企業の体制だと、スキル的なものはE-Learningの仕組みがしっかりあって、リアルでは階層別研修と上司の推薦等による研修が提供されます。上司推薦で典型的なのはロジカルシンキングやリーダーシップ研修などがあるでしょう。E-Learningの最大の欠点は「いつでもできる」ということ、「いつでもできる」、だから自分で時間を見つけてやりなさい!などといわれても「辞められると困る社員」は仕事が集中しがちでそんな時間は取れません。

 階層別研修については新人研修、2年目研修くらいまでは良いですが、3年もたつと「辞められると困る社員」とその他の社員ではレベル感に大きな差が出てきます。しかし、研修講師として全体アンケートで評価されるし、やはり講師として落ちこぼれは出したくないという講師魂もあるしでおおむね主要ターゲットは中の少し下あたりとなってしまいます。「辞められると困る社員」にとっては、まぁ悪くはないけど少し物足らない、5段階評価で4(良い)はつけてくれるかもしれませんが、実質的には研修の評価は2(あまりよくない)なのでしょう。

 これは自分の公立小学校時代を思い出します。私は、低学年の頃は障がいがあるのではといわれるほど集団行動が苦手だったので先生に怒られてばかり、そのため勉強好きでなく授業はしんどかったです。ただ、高学年で良いところを伸ばすタイプの先生に出会って勉強が好きになり、勉強ができるようになると今度は学校の授業が物足らなくなりました。多分、「辞められると困る社員」にとって企業の研修はこういった公立小中学校の授業の感覚でしょう。

 私は、公立中学にはいきたくないと考え始め、大手進学塾に通うようになりましたが、組分け試験で好成績でないと有名講師の授業は受けられません。何とか頑張って上のクラスに行き、やはり、有名講師は教え方も上手、周りは賢い子が多く良い刺激をもらえ、おかげさまで中学受験においては志望校に入学できました。これ、別に自慢話をしたかったのではなく、「辞められると困る社員」にとっては、「公立小学校」的な学びではなく、「進学塾」的な学びが必要ではないかと思うのです。

3.「進学塾的学びとは」

 私が以前いた米系多国籍企業では人事制度としてコンピタシー(会社のバリューに沿った高い業績を上げる人の特性)と実際の業績の2軸で個々の社員は評価され、その中で階層別にプロットされていたようです。その中で「辞められると困る社員」はたいてい右上にプロットされ、昇進は早いですし、企業研修も含めた教育の機会が多く与えられます。E-Learningなどは平等ですが集合研修は圧倒的に「辞められると困る社員」に傾斜配分です。そして講師陣もたいていその分野で有名な超一流講師で1日の講師料は百万を優に超えるような方がアサインされていました。

 研修において良いのはネガティブで研修の雰囲気を壊すような人は来ません。「この研修の意気込みは?」と聞かれて「上司の命令で嫌々きました」とかリーダーシップ研修で「リーダーなんて大変でなりたくないなど」と最初からこの手のタイプは研修には参加資格がありません。例えばリーダーシップ研修、どうしたらより良いリーダーシップを職場で発揮できるかと日ごろから問題意識を持っている参加者が集まっていますから、変に足を引っ張る参加者はいないので、グループ討議も白熱しますし、その結果参加者が得るものも大きいといえます。

 そして、「辞められると困る社員」の上司の役目はそういった社員に対し学びの機会を積極的に与えることです。たいてい、日本の一般的な企業の場合できる人に仕事が集中するので、E-Learningなどはまずできませんし、集合研修も「仕事溜まっているし・・ちょっと・・」という感じになりがちです。研修を受けさせるための業務の配分というのも、ヒトを育てるための上司の重要な役割というわけです。ちなみに、米系などは部下にきちんと研修を受けさせているかなども上司の人材育成姿勢を問うものとして重視項目ではありました。

 まとめると「辞められると困る社員が求める社員教育のカギ」とは公立小中学校的な「落ちこぼれをなくす」ではなく進学塾的な「できる子をもっと伸ばす」といえるでしょう。もし、こうなったら研修講師としては1日100万>レベルと、入社3年目までの1日<10万レベルに分化していくかもしれず、これはこれで私などにも厳しい世界になるかもしれません。

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