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JR東日本で事故が多発するたった一つの理由

2019.05.07

目次

1.事故がつづくJR東日本

先日GWに上越新幹線で停電のため3時間以上遅れる事態がおこり、帰省客や観光客の足などに大きな影響を及ぼしました。そのため、国土交通省はJR東日本に対し5月2日防止体制の検証と改善策の報告を求める異例の警告を行いました。確かに肌感覚的にJR東日本は頻繁に運行障害が相次いでいるという印象があります。以前2018年1月の東洋経済の記事で部内障害(天災等の外的障害を除いた内部に起因するもの)のランキング特集をやっていましたが、JR東日本は323件(2016年度)と圧倒的に一位でした。ただし、これは輸送キロが長ければ多いのは当たり前なので百万キロ当たりのランキングも発表しています。これを見ると財政難に苦しむJR北海道が5.72と突出していますが、JR東日本も1.72とほぼ0~0.3程度の大手私鉄や1.16のJR西日本、0.92のJR九州、1.04のJR四国と比べてかなり高い数字になっています。数字的にも、やはりJR東日本は事故率が高いといえるでしょう

2.実際の事故体験談

実はGW上越新幹線の事故は私も体験者でした。所用で新潟に行っておりその帰りに事故がありました。夕方事務所でZOOM会議(Webの会議)があったのでそれまでには準備等も含めて戻りたかったので困りました。事故が起こってしまったのは仕方がないのですが、その時の対応はかなり問題だと思いました。まず、事故が起こった際、ある私の乗車駅では改札を通った際、何の説明もなく、その後も何のアナウンスもなく駅構内をうろうろして駅員を探している人がいました。駅員も事務室にこもりっきりで出てきて何らかの処置を講ずるということもしていません。  私はグリーン指定席をとっていたのですが該当の列車は当分到着しそうもないので、会議の件もありとりあえず止まっている新幹線の自由席を確保しました。しばらくして、車内のすべての電気設備が止まり真っ暗になりしばらくしたところで車内アナウンスがあり、30分程度後に復旧ということでしたので、駅のトイレに向かいました。電気が止まっているので車内のトイレは使えないと思ったからです。その際、駅のトイレは私以外誰もいないガラガラの状態でした。その際、ふと「電気が止まっているのでトイレは使わないでください」くらいアナウンスはしたほうが良いのではと思ったのですが・・。  トイレから戻ってしばらくすると、「トイレは使わないでください。停電中に社内のトイレを使った方がいるのでトイレが詰まりました。駅のトイレを使ってください」といったかなり早口の焦った様子のアナウンスが流れました。その後20分くらいして「復旧の見込み無し」というアナウンスが流れたので昼ご飯を買っておこうと駅の売店に向かうと100メートルを超える大行列です。さきほどのアナウンスで一種のパニックが生じ皆一斉にトイレに向かってしまったわけです。 アナウンスが軽いパニックを招いてしまったわけです。  一方「復旧の見込みが立たない」のだったら駅ビルの喫茶店やおみやげ物屋にはいきたいのですが、知らない間に復旧して出発してしまうと怖いので基本的には真っ暗な車内にいなくてはなりません。電車のドアも一部を除き閉まっているので殆どの人が車内に缶詰状態でした。せめて復旧時は構内放送でアナウンスはするので車外に出て、駅構内にでていい仕組みは設けてもよいのではないかと思われました。  約3時間後動き始めたのですが降車時も問題が起きました。車内アナウンスでは「払い戻し手続きを円滑に行うため自動改札機は通らないよう」にアナウンスしていたのですが、到着の大宮駅では逆に「自動改札機を通ってください」と言われ混乱した乗客が駅員に詰め寄っていました。車内アナウンスと駅の対応がちぐはぐだったわけです。

3.みどりの窓口での体験

その後、この切符を払いもどすためにある駅のみどりの窓口に向かいました。列は2人ほどだったので、すぐにできるなと思っていたのですが・・。窓口には外国人の旅行者と見える方と、お年寄り夫婦がいました。ところが外国人の方が旅行者用のパスの変更手続きをしようとしているのですが係員が慣れないようで分厚いマニュアルをみたり、奥にいる上席らしき方のところに指示に行ったりで全く進みません。お年寄りの方も何となく話が通じないようで時間がかかっています。 私の番まで結局30分近くかかりました。私の番になって払い戻しをしようとすると「規則により特急券は払い戻しするがグリーン券は払い戻ししない」とのことです。理由を聞くと、『特急券は確かに遅れたので払い戻すが、グリーン券は「施設の利用料」なので払い戻ししない』とのことです。確かに、これはグリーン車に乗車した後電車が遅れた場合は納得できますが、復旧状況がわからない状況で、まだ到着もしていない電車のグリーン車を待つほど暇ではありません。そもそも大幅に遅延したのでグリーン車に乗れず、仕方なく自由車に乗らざるをえなかったわけです。  駅員の方も分厚いマニュアルを一生懸命見ていたのですが、判断できず、また奥の上席らしき方と話し合い最終的にはグリーン車の払い戻しも受けることができました。要するに現場の窓口の方々は何も判断ができないわけです。

4.JR東日本に欠けていること

対応したJRの職員の現場の方々は必死に事態を打開しようとしていたわけで、それ自体は伝わっており、このような混乱が怠慢や綱紀のゆるみで起こっていたわけではないと私は思いました。問題の一つ目としてはは事故が起こった時の訓練がされていいない気がします。それぞれの方々は懸命にやっているのですが訓練されていないので右往左往している感じで現場自体が軽いパニックを起こしてしまっています。  もう一つ感じたのはマニュアル主義で現場の方々自分の頭で全く考えていないように感じたことです。したがって、事故のようなマニュアルに書いていない突発事項が起こると現場の方々が全く対応できません。  ありがちなのがこのような問題が起こると上層部から管理の締め付けが強くなったり、より詳細なマニュアルが出来たりします。しかし、根本的な解決にはならないでしょう。私は、鉄道運行については素人ですが、大切なものをあげるとしたら第一に安全、第二はは快適さだと思っています。この2つを達成するためにどうしたらよいかということを上位下達で行うのですなく現場で徹底的に考える時間をとることは大切だと思われます。そしてそれを元に日ごろからロールプレイなどで現場で訓練していくことでしょう。このあたり現場で考えず、単に本社の頭の良い方が机上で考えて要請してもそのようなことはまず定着しません。  あくまでも仮説ですがたった一つの理由としては現場の方々がマニュアルや規則に縛られ自分の頭で考える習慣がなくなりつつあることが挙げられます。JR東日本の上意下達文化で現場が考えない習慣が事故を生み出し、そして事故を必要以上に拡大させているような気がしてなりません。

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