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CFO的観点からの大塚家具の苦境

2018.08.13 カテゴリ: 企業経営での留意点経営戦略

目次

大塚家具の苦境の内容

 大塚家具の苦境が伝えられています。先日発表された業績修正では2018年度の売上予測が457億から376億と17.6%の大幅減、経常利益も15億の黒字予測から53億の赤字予測と、正直もともとの予測が全然現実を把握しないまま行っていたのではないかと思われるレベルです。この赤字の中には「棚卸評価基準を移動平均法に基づく低価法」から変更した商品評価損10億が含まれていますが、どのような方式に変更したのか記載していない不思議な発表になっています。想像するに先入れ先出し法に変更して古い在庫部分の影響を下げたのではないかと思われます。さらに苦しいのは28年、29年と営業キャッシュフローがマイナスで100億以上の現金が流出して、今現金残が18億しかないということです。業績予測通り55億の赤字であるとキャッシュが足りませんからおそらく民事再生の申請といったことになるでしょう。少なくとも継続企業の前提に関する注記はつくでしょう。

苦境の原因

 簡単に言うとひたすら売上が平成27年の580億をピークに今期は376億と激減していることが言えるでしょう。コスト削減も行っていますが、このくらい売上が下がってしまうとコスト削減で対応するのはかなり難しいといえます。売上の減少については平成27年の創業者と現社長の娘との委任状争奪戦などのいわゆるお家騒動が影響したともいわれていますがこのあたりははっきりしていません。大塚家具は婚礼の際などの高級家具のまとめ買いで伸びてきた会社なのでニトリやIKEAなどの低価格路線の会社との競争に勝てていないことが売上については言えるのでしょう。いわゆる担当者が付きっ切りの会員制の体制は変えたようですが、これ自体は誤りではなく、人口減・シニア化の流れについていってないというのが売上の原因でしょう。

CFO的観点からの失敗

 無借金経営の弱さが出ているのが一つだと思います。この苦境の中で思い行った手を打とうとしても今まで銀行との付き合いがないためおそらく、現状で貸付けをしてくれる銀行はどこもないはずです。したがって今必死になって第三者割当先を探しているわけです。本当は27年度に体制を変える際、いわゆるまだ財務状況の良好なうちにある程度の銀行借入を行い、そこでもう少し投資も行い、単なるリストラだけでない構造改善をやっておくべきだったのでしょう。投資活動のキャッシュフローはなんと27年度からはプラスでありほとんど投資が止まっていいることを示します。後出しじゃんけん的ではありますが、リストラの一方で将来への投資もキチンと資金を確保してやっておかなければ復活は難しいと思われます。

今後どうするか

 スポンサ―の力を借りてビジネスモデルを大幅に変えていくというのが方向性としては正しいと思います。そういった意味で会議室会社TKPなどの異業種との組み合わせは非常に面白いと思います。

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