あなたの会社も「忖度文化」はびこっていませんか?
2018.04.09 カテゴリ: 企業経営での留意点、経営理念。
ここ近年悪者になってしまった言葉として「忖度(そんたく)」があったと思います。三省堂大辞林でその意味を見てみると「他人の気持ちをおしはかること、推察」であり特に悪い意味はないというか、むしろ良いニュアンスの方が強い気がします。ただ一定の文化の中では悪い方向に走る可能性はあるかもしれません。
モリカケ、防衛省文書隠蔽などの問題ですべて野党は安倍首相に忖度したことが根本的な原因と主張しています。多分安倍首相に対する忖度は少なからずあったとは思われますが、「忖度は気持ちをおしはかったもの」ですから、「気持ち」の証拠は何時間審議時間かけても出てくるはずはなく、時間の無駄です。もし出てきたらそれは「忖度」ではなく、明らかな要請があってそれに対して対応したということです。そういったことで働き方改革など重要法案をたなざらしにしている野党には絶望しています。それが安倍首相の支持率が下がっても野党の支持率が上がらない原因でしょう。
ただ、「忖度」は私的な人間関係においては良いことだと思いますが、ビジネスや公的な場面でそれが横行するような文化は、問題だと思います。「忖度」が横行する組織を見ているといわゆる上意下達文化を持っているケースが多いです。私が関係した企業の例をあげましょう。
ある上場企業の経営会議にオブザーバ―として出席する機会がありました。この会社は上場企業ですが創業社長がすべて仕切る「ワンマン会社」です。だいたいの雰囲気としては各部門の長が行った報告や承認事項について社長が意見を述べ、部門長が「はい、承知しました!」といったものです。いくつか社長が出した指示の中で意味がよくわからないものもありましたが、自分はこの会社のこともよくわからないので仕方ないなと思っていました。ところが会議が終了すると何人か仲の良い執行役員クラスの方々が近づいてきて「第三者的にみて社長の指示どういった意図があったかわかります?。よく言った意味わからないんですよね・・・」とのこと。とにかくそういえばこの会社社長は指示出すのですが、誰もそれに対する反論・質問をしません。社長が去った後、何人か役員クラスが集まって同じようなことを語り合っています。
このように上意下達文化がはびこって社長に質問さえできない環境だと忖度文化がはびこります。後日その会社の社長さんと少し話す機会があったのですが、「うちの役員クラスは言ったことしかやらないし、言ったことも半分もやらない人間もいる・・」と話されていました。私が以前いたアーサーアンダーセン(今はアクセンチュアというコンサル部門だけ残っています)では「Think Straight, Talk Stright」という言葉が一種の社訓でした。要するに自分の立場・地位に関係なくはっきりと自分の考えをもってきちんと相手に伝えなさいということです。立場に関係なくはっきりと考えを話し合わないと物事は正しい方向に進みません。ワンマン会社の場合は間違った方向に全速力で行ってしまうリスクがあります。
様々な隠ぺい体質を葬るためには忖度文化からTalk Straight, Think Straight」的な文化にシフトしていくことが大事でしょう。いくら国会で議論してもこれは解決しないですね。