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吉野家の大幅赤字は店舗閉鎖で防げるか?

2020.08.05 カテゴリ: 企業の業績分析企業経営での留意点経営戦略

1.大幅赤字となった吉野家の決算

 7月28日 吉野家の第一四半期決算が発表となりました。その結果は、連結売上高396億円(前年527億、前年比25%減) 営業損失50億(前年10億利益)、経常損失は43億(前年12億利益)でした。ただし、吉野家アークミール(フォルクス、すてーきのどん)を前期末安楽亭に譲渡していますので売上の減少のうち52億(10%)はその影響です。多少経常損失(約1億)を出していた会社なので利益的にはプラスだったでしょう。事業の整理をコロナの前に前に着手していて本当に良かったといえます。

 しかし、他に抱えている本業の牛丼以外の外食であるはなまるうどん、京樽が特に業績の足を引っ張りました。吉野家は前年比既存店売上高 4月96% 5月92.7% 6月87.8%と底堅い部分見せていましたが、京樽とはなまるうどんは4月は既存店売上高が40%程度まで落ち込み6月もまだ60%程度と低迷しています。同業他社だとスシロー4月55.6%、5月 81.4%6月97.9% 丸亀製麺4月55%、5月63.6%、6月80.2%とある程度持ちこたえているのに対し弱さが目立ちます。

 営業利益の前年比約60億円の低下の寄与度も吉野家18億、はなまる21億、京樽16億と売り上げ規模吉野家68%、はなまる10%、京樽9%とその規模以上にこの2社が足を引っ張っています。

 セグメント利益も吉野家が3.7億程度のマイナスなのに対しはなまるが16億、京樽が13億のマイナスでした。この2社が大きな問題だというのはなんとなくわかるかと思います。もう少し違った財務的側面から見ていきましょう。

2.損益分岐点から見るざっくりとした今回の結果

 2020年2月期の有価証券報告書から損益分岐点分析をざっくりやってみましょう。固定費をパート人件費を除く販管費、変動費を売上原価とパート人件費と仮定します。すると固定費総額は913億、限界利益率(売上から変動費を引いた限界利益の売上げに対する比率)は45%です

すると損益分岐点売上高 913÷45%=2021億、2020年2期が売上高2024億なのでそもそも2020年2月期も何とか利益をひねり出した感じで収益構造、コスト構造にもともと問題を抱えていたといえます。今回の第一四半期では売上げ396億なので計算してみると396 x 45%-(913÷4)=-49億でほぼ損失水準は予想通りとなりました。

 コスト削減としては賃料減額交渉や残業・役員報酬の減額などで6億円弱は下げたと決算報告で述べていますがとりあえず計算上は他の部分で相殺されたのかその影響はみえてきません。少し繰り返しにはなりますが、コロナは根本的な問題点を強くあぶりだしただけで吉野家は財務的には構造的に問題を抱えていたことになります。

 ただし、経営陣も全く手をこまねいてたわけではなく吉野家アークミールなどもその一手だったのでしょう。では今後吉野家はどのように解決していけばよいでしょうか?

3.決算発表に見る吉野家の対策

 決算発表では「売上10%減で利益出せる事業構造」をあげています。ただし、吉野家の牛丼店はともかく他の業態はどう考えても10%減ではすまないといえるでしょう。

 加えて昨年比売上約1割減の1800億の売上で済んだとしても利益を出そうとすると1800億(売上)x45%(限界利益率)=810億であり想定現状固定費の913億から約100億の固定費の削減が利益トントンでも必要です。

そのためか吉野家90店、はなまる30店、京樽30店の不採算店の閉店を発表しましたが、こういった固定費の削減だけでは約100億の削減には追いつかない気はします

 一方粗利率の改善で3%改善すると1800×48%(45+3)=864億円で913-864=49億の半分で固定費の削減済みますから単に計算上ですが固定費削減と粗利益率のセットというのが処方箋とは思われます。

 テイクアウトやデリバリーの強化して売上を下支えするとともに粗利を改善する施策を打っていく、または加えて大胆な固定費削減策を打つ以外に黒字化は難しいといえます。逆に言えば筋肉質の体質に戻すチャンスかもしれません。頑張って欲しいですね

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