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男女格差の開示の広がりと格差が消えない秘密

2022.06.22 カテゴリ: ダイバーシティ経営人の育て方企業経営での留意点

1.男女平等に関する開示の義務化の広がり

先日の日本経済新聞の記事によると今夏にも義務化する男女の賃金格差公表について算出・開示方法の案を厚労省が発表したようです。それによると「男女の平均年間賃金を算出したうえで、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示す方式にする。全労働者を対象とした比較に加え、正規・非正規別も併せて3区分での開示を求める。」ようです。そしてHPでの開示を考えているようです。加えて、金融庁も有価証券報告書の開示項目とする予定です。最近注目の非財務項目の一つです

 現状はコーポレートガバナンスコードで女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方 、目標 、人材育成方針、社内環境整備方針等を定めることになっていますが、これに加えて男女別の賃金格差を公表します。上場企業にとって、有価証券報告書の虚偽記載ということになれば犯罪行為ですし、一方当然管理職登用や賃金で男女格差がバリバリあれば求人にも差し支えるでしょう。

 私が男性ですが仮に就職・転職するととしても男女格差がある会社をみて、男性が優遇されている自分にとって有利な会社と感じるよりも古い体質の遅れた会社という悪い印象を持つと思われます。こういった開示は女性活用という意味では一定の効果はあるかもしれません。ただ、そんなに実際、日本において男女格差はひどいのでしょうか?

2.日本企業における男女格差

2020年時点で男性の賃金を100としたときに、女性の賃金は経済協力開発機構(OECD)の平均で88.4ですが、日本は77.5と平均を大きく下回っています。加えて総務省「2020年労働力調査(基本集計)」によれば日本は女性管理職比率が13.3%で国際的に圧倒的低いです。アメリカの39.2% シンガポールの38.9%フランスの35.5% ドイツの28.1%、そして比較的男尊女卑の傾向の強い韓国の15.7%より低いというのは驚きの数字だと思われます。

 よく、日本企業で「当社は女性が活躍できる風土を創りあげていきます」などとHPに記載してありますが、個人的には全く共感しません。理由は危機感が感じられないからです。「女性が活躍できないようでは企業として立ちいかなくなる」というのが本来でしょう。日本の失われた30年という言葉をよく聞きますが、その大きな要因としてデジタル化の遅れとともに女性の活用の遅れがあると思います。世界各国でどんどんと女性が活躍していく場が急速に拡大していったことに対し、日本はすごく遅い歩みです。

 特に立証はできないのですが企業の成長エンジンが人財と考えると、働き手の半分の女性を活かしていない日本は片肺飛行のようなものですから当然グローバルな成長からは取り残されるでしょう。ではなぜ日本企業は女性を活用できないのでしょうか?

3.女性はなぜ日本企業で活躍できない

日本企業が仕組み的に女性が働きにくいとよく言われます。その理由としてよく言われるのが長時間労働です。これは本当でしょうか?実は管理職になるようなプロフェショナルな人たち、米国でもアジアでも(ヨーロッパはあまりわかりませんが)本当によく働き、決して労働時間は短くないです。

 私は、どちらかというとジョブ制で言われる職務の明確化と仕事の柔軟性ではないかと思われます。仕事に柔軟性があれば、自分の裁量で働く時間はコントロールできるし、ダラダラと仕事が終わったが部署が忙しいから帰れないなどということはないです。海外では、子供が小さく保育園の送り迎えが必要な女性で5時前に帰る方いますが、子供が就寝してから自宅で働くなど働き方に柔軟性があるのです。

 ただ、実は日本社会に何か女性が活躍できない何かがあるのではと思っています。こちらの方が根が深いと思います。それをみていきます

4,女性が挑戦できない土壌があるか?

そもそも有名大学やや難関資格の受験者を見ても女性がそもそも少ないのです。そもそも女性が挑戦できない風土があるのではないでしょうか?こちらの方がもしかすると根が深いです。

志願者でみると東京大学

男性79.6% 女性20.4%
(代々木ゼミナール)

慶応義塾大学

男性72.4% 女性27.6%(2021年)
(代々木ゼミナール)

早稲田大学

男性68.1% 女性31.9%(2021年)
早稲田大学入試センター

令和2年 司法試験出願者、男性71% 女性29%

公認会計士試験、願書提出者(令和3年度公認会計士審査会)男性76% 女性24%

といった感じです。ちなみにハーバード大学で公表している直近の男女別入学者は女性51%、男性49%です。欧米有名大学はおおむね入学者の男女比はほぼ一緒です。別に有名大学出身者と難関資格の割合で例えば女性管理職割合が決まるわけでもないですが、ざっくりこの割合を見ると日本では女性管理職割合は30%程度が壁になってくるのではと感じます。まだまだ根は深く、先は長そうです。

 

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