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コロナ騒ぎでANAはなぜここまで苦しいのか

2020.04.15 カテゴリ: 企業の業績分析企業経営での留意点

1.コロナ騒動で資金が尽きる企業

 日曜(4月13日)の日本経済新聞でコロナウイルスで企業の現金収入が減ることによる資金繰りの問題が取り上げられていました。世界の上場企業3400社を分析して3割売上高が減る状態が半年続けば4分の1の企業で資金が尽きるという記事でした。

 日本企業は割と現金預金を厚めに持ってるので欧米企業に比べると多少ましかと思いますが一部の企業は非常に苦しいと思われます。その代表例が航空機業界だと思います。ANAホールディングディングス(ANA)は政策投資銀行から危機対応融資で3000億調達し、政策投資銀行や民間銀行1兆3000億円規模の融資枠(コミットメントライン)の設定を要請しました。これによっていざというときほぼ1兆3000億まで即座に借入ができ、その代わりその枠に対し一定の率で手数料を支払するものです。確かに航空会社、今回のコロナ騒ぎで飛行機に乗る人激減、大きな打撃を受けることは理解できますが、なぜここまでコロナ騒ぎで苦しんでいるのでしょうか?

 ANAの経営成績を見ると2019年売上高2兆円 経常利益約1500億円2016年から4年連続1000億を超える経常黒字の素晴らしい優良企業です。その一つはコスト構造にあります。それを見ていきましょう。

 

2.ANAのコスト構造

 ANAの2018年度決算を見ると2兆600億売上の売上のうち総費用は1兆9000億です。総費用のうち5300億は航空機リースや整備費、人件費など固定費と考えられます。加えて残りの費用のうち他の燃料費、空港使用料、外注費など8000億ありますが通常の産業だと変動費です。売上が下がれば費用も下がっていきます。しかし、航空機産業の場合ガラガラの飛行機を飛ばして、売上ほぼゼロでもこの費用は掛かってしまいます。純粋に変動費とは言えず、固定費に近い部分あります。

 そもそもなぜガラガラの飛行機飛ばす必要があるのでしょうか。これはU/L(Use it or Lose it)という国際ルールの存在があります。これは航空会社が配分された発着枠の8割を運航しなかった場合、翌年に同じ時間帯の発着枠を優先的に利用できる権利を失うものです。要するに客が乗らないといって減便してしまうと需要が戻った時、元に戻すのは大変なわけです。

 ただし、さすがにこれはコロナ時まずいと思ったのか国際航空運送協会(IATA)は3月2日、世界各国の航空当局に対し、空港の発着枠に関するこのルールを一時停止するよう呼びかました。日本の国土交通省も重い腰を上げ3月16日付けで、日本発着の国際線を運航している各国の航空会社に適用している「Use it or Lose it rule(U/Lルール)」を5月末までの期間限定で停止しました。

 かなりこれで減便へのハードルは下がりましたが、社会インフラとしてある程度の運行は必要なので、ガラガラでもある程度の便は飛ばさざるを得ない部分はあるでしょう。

 またこういった費用科目計上される項目以外にもいろいろな支出あります。

3.その他の支出とは

 キャッシュフロ―計算書を見ると毎年1000億近い借入金の返済や3000億程度の固定資産購入(おそらく航空機)の支払いがあります。おそらく航空機の支払いなどはもう注文時にコミットしているのでいきなり支払いを止めるわけにはいかないと思われます。

 すると純粋固定費5300億+変動費の半分程度の4000億+借入金の返済1000億+3000億の固定資産購入で1兆3000億くらいは1年間で最悪出ていきます。1兆3000億のコミットメントラインはざっくり1年間に出ていくお金といえ、とりあえずコロナ騒ぎが1年続いても何とか持ちこたえる体制を整えたといえるでしょう。

 今手持ちのキャッシュは2500億くらいと考えられますから(2019年12月現在)かなりこころもとないといえますから、このコミットメントラインのようにかなり厚めに資金の確保をするのは大切だったのでしょう。いずれにせよなんとかこの危機を乗り切ってもらいたいものです。

 

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