ものづくり補助金は必要か?
2019.03.25 カテゴリ: 企業経営での留意点、社会問題、経営戦略。
目次
1.ものづくり補助金の改善
中小企業庁が国の補助金を裏付けに企業が借入れをできる仕組みを新たに作ることしたと24日の日本経済新聞に掲載されていました。仕組みは将来もらう補助金を裏付けとした債権を担保に銀行から借入れをする仕組みで、電子債権化をして城南信金や商工中金などが貸し出しを行うようです。主に想定しているのは「ものづくり補助金」のようです。
このものづくり補助金はだいたいスケジュール的には募集の発表から応募の締め切りまでが2か月、それから2か月程度で採択の合否が決まります。そこから実際の投資が行われその完了報告書の作成、その検査が行なわれ、その後ようやく補助金が支払われるというプロセスです。募集してから実際の入金まで1年かかります。実は私も経営革新等支援機関でこのような「ものづくり補助金」の作成支援は可能ですが、たくさん資料作って実際の支給は1年後などというスピード感の補助金なので、私のお客様のニーズはありません。
2.ものづくり補助金で誰が受益者か
実はものづくり補助金で一番盛り上がっているのはむしろ補助金獲得ビジネスをやっている方々であり、厚労省の助成金がらみと並んで2大ビジネスと呼んでよいのではないでしょうか。厚労省の助成金がそもそもが百万レベルなので報酬も数十万レベルなのに対し、補助金は千万単位なので報酬も百万レベルとなり、こちらの方が魅力的ではあります。一方助成金と違うのは採択率が低いことでサポートしても採択されないと補助金は下りないのでリスクは高くなります。そうすると、今度は「ものづくり補助金」の申請書の書き方を徹底的に研究して採択されやすい申請書の書き方を伝授する経営革新等支援機関に対するコンサルティング会社が誕生しています。
いつも思うのですが、補助金や助成金を作ると一番の受益者はその補助金や助成金の受け手ではなく、その周りでビジネスをしている「補助金助成金ビジネスの方々」な気がします。別にこのビジネスは不正でも倫理的に反しているわけでもないと思いますが、モヤモヤ感は残ります。
3.補助金というものは必要か?
中小企業庁も常に問題意識はあって、早期の審査やこのような電子債権化で本来の補助金の趣旨に合った中小企業を育成しようと考えているようです。
一方で必ず不正にこのような補助金を詐取する、またはずさんな使い方をするといった輩は必ず出てくるので様々な手続きや書類が必要になって来るでしょう。また、公平感も必要で手続きも様々厳密になるでしょう。結局、補助金・助成金というのは効率性の悪い手段になっている気がしてなりません。「補助金・助成金」全廃とまでは言いませんが、ベンチャーが生まれるようなエコシステムの整備ー例えば金融機関における事業性評価融資の推進やエンジェル税制の一層の改善などーにお金をかけたほうが遠回りなようで最終的には目的を達成できるような気がします。