ワールドカップ観戦で思いだした西洋的価値観
2018.07.02 カテゴリ: グローバルビジネス、企業経営での留意点。
ワールドカップのポーランド戦で日本は世界中から批判を受けたと日本のマスコミが書いていました。正直どうせ自分に合ったものだけ適当につまみ食いしたのだろうと思って原文にあたってみました。残念ながら私は英語しか読めないのでBBCのサイトのワールドカップ特集を見ましたが、ここでは「Mind Bogging Farce」(あぜんとさせるような茶番)と書かれ、確かにこのゲームに対してひたすら批判一色でした。
海外、特に欧米人と付き合う際、私はあえて相手が不快になるようなことはしませんが、嫌われることは全く恐れていません。一方心がけていることは、軽蔑されることと憐れみをもって接されるのは避けようと思っています。軽蔑されたら本当に相手にされなくなりますし、憐れみを受けるということは完全に下に見ているわけですから、そこから上に這い上がってこようとすると潰しにかかってきます。そういった弱肉強食的な面が西洋にはあるような気がしてなりません。ある意味今回の日本に対する批判の一部は今まで弱くて憐れむ対象が対等になったので叩いている面も強い感があります。
今回BBCは日本のゲームに対し嫌悪感を抱くコメンテータが多く、日本チームは悪役(ヒール)化した状態と言えましょう。このゲームを1982年の西ドイツ対オーストリア戦のようだ(どうやら似たような無気力試合が以前もあったらしい)と批判し、こういったゲームを行う日本など負けてしまえといった嫌われている状況です。しかし、ここでのポイントは嫌われてはいますが、きちんとルールの中でやっているので軽蔑はされていないということです。別にこっそりルールを破っているわけではなくBBCのコメントでもで”unfair”という文字(これはあまりにきつい言葉なので使われないとは思いますが)やそれに類似するようなことは書かれていません。
韓国は最後ドイツに一矢報いてこれは素晴らしいことです。賞賛はされているようですが、そこには予選リーグで負けたアジアの弱いチームがよく頑張ったよねという憐れみから生じる上から目線の賞賛でしかないように感じます。正直日本のサッカーも今まで世界からフェアプレーの精神があるなど好意的にみられていたという面はありますが、特に欧米諸国からは憐れみという部分から見られていたという感じがします。
むしろ批判されるというのはある程度彼らと一緒の土俵まで上がってきている事ですし、批判されていてもそれ自体は全然気にする必要はないと思います。特に日本のマスコミの中に他力本願に頼るのはいかがなものなのかといった論調がありましたが、日本がポーランドに追いつく確率よりとコロンビアがリードを守り切る確率どちらが高いか比較検討すれば、確率が高い方を選択するのはリーダーとして当然だと思います。
実は私は個人的にはきちんと日本は最後まで全力を尽くして攻めて、どちらかというとかっこ悪く勝つよりも美しく散ってほしいと思う、古くナイーヴなタイプです。好き嫌いで聞かれたら明らかにこのようなやり方は嫌いです。しかし、西野日本代表監督の今回の意思決定はリーダ―の意思決定としては素晴らしいと思いました。軽蔑と憐れみは恐れるけれど批判されることは恐れず、求められた結果を出しているからです。