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ビジネスパーソンに本当に必要な会計知識とは何か?

2019.07.01 カテゴリ: 人の育て方企業経営での留意点会計・税務働き方・仕事術勉強術・仕事術・心がけ

目次

会計を大きく分類すると

私事ですが6月17日に「現場で使える会計知識」を出版しました。おかげさまで地味な本ながら割と気に入って買っていただいているようです。ただ、残念ながら一冊の本でビジネスパーソンが必要な会計知識をすべて網羅しているわけではありません。ところでビジネスパーソンにひつようなすべての会計知識とはなんなのでしょうか?多少乱暴な分類なのですが以下のようになります。

 基本的には会計は「簿記」と「財務諸表論」に分かれます。これは税理士試験でも公認会計士試験でも一緒なのでわりと公に認められた分類だと思います。そして、もし新入社員などで初めて会計を学ぶならば「簿記」だと思います。ところで簿記とは何なのでしょうか?ざっくりいうと簿記とは会計帳簿の付け方です。そうすると、一般のビジネスパーソンにとってはなぜ経理でもないのに帳簿の付け方を学ぶ必要があるのか疑問に思うと思われます。  

 確かに帳簿を付ける必要はないのですが、簿記は実際に手を動かして帳簿の付け方を学ぶので様々な財務書類がどのように作成されるかを手で意識することができます。この実際に「手を動かす」という部分が非常に重要で、なんとなく手を動かすことで頭の中に自然に会計が入っていきます。いわゆる簿記は「手で会計を理解する」なのです。  日商の簿記の検定を受けた方はわかると思いますが、簿記には3級から1級まであります。3級でほぼ全般的な知識は身につくので一般的には3級の勉強までやっていれば十分です。ただし。2級で工業簿記いわゆる製造での原価計算を行いますので、製造業の方は2級まで学ぶことをお勧めします。

財務諸表論とは何か

つぎに「財務諸表論」を考えてみましょう。簿記はどちらかというと「手で理解する」と前に述べましたが、財務諸表論は「頭で理解する」ものです。私が初めて勉強したのは会社員時代、税理士試験の勉強をしているときでしたが、簿記で取りあえずやっていたモヤモヤすることがこの財務諸表論を学んだことによりすっきりしたことを覚えています。正直なところ簿記を学んでいるときにこの単純作業はつまらないと思っていたことの意味が財務諸表論をやったことによってスッキリ腹落ちします。一番すっきりしたのは「減価償却」で簿記をやっていたときは随分難しい文字だなぁ、面倒なことをやるなぁと思っていただけですが、財務諸表論をやることによってその理論的背景がわかってなんだかうれしかったのを覚えています。超理論的な方以外は簿記⇒財務諸表論とやっていくとわりととっつきやすいです。とりあえず手で覚えてからの順番になるからでしょう。

 こうして財務諸表論で最初にだいたいの会計のルールが腹落ちしたところで中身は2つに分かれます、財務会計と管理会計です。それではまず管理会計とは何かを見ていきます。

管理会計とは何か

管理会計とは企業が業績管理をするために必要な会計のルール、いわゆる会社内部向けの会計と言えるでしょう。会社の内部では会社の通信簿である「経営成績」を測らなければなりません。そのためには会社全体の業績を測る指標や財務分析の方法、そして会社内部の部門を測定する方法があるでしょう。加えて、会社で大切なのは過去だけでなく未来も大切です。したがって、管理会計の手法で将来どんな手を打っていたほうがいいのか測定し、意思決定を行う意思決定の会計があります。

 私個人的には会社全体の経営成績の測定、部門の測定そして意思決定の3つがあると思います。 ただし、経営成績の測定一つをとっても、中小企業だと単に売上高や利益だけかもしれませんが、どんどん会社が大きくなるとROE(自己資本利益率:税引後利益÷自己資本)とかROIC(税引後営業利益÷投下資本)など様々な手法が乱立しています。また、部門別計算や意思決定においても様々な指標があり、非常に迷います。正直なところ会社の内部管理に使うのでどの指標(モノサシ)が正しいかはその会社によって異なるというのが実感です。

 そういった意味で本などを読んでもいろいろなやり方を羅列しているか、一つのやり方を徹底的に説明しているか(代表例:稲森和夫「アメーバ経営」)どちらかに分かれます。 ビジネスパーソンの学び方として最初は羅列型の本を読んでそれから個別のやり方を見ていくという学び方が良いかもしれません。

財務会計とは何か

前に述べた管理会計が企業の業績管理をする内部向けのモノだとすると、財務会計は外部公表用です。外部公表用ということは企業によって取り入れるやり方が違えば比較が来ませんから比較的共通のルールが作られます。日本企業が主として用いるのは日本基準という日本の企業会計基準委員会(公認会計士、学識者、企業の経理担当者などが委員となって基準書や意見書を出す民間機関)が作成した基準です。基本的には経理の担当者は公表用財務諸表を作成するにあたってかなり詳細にこのあたり学びます。ただ、それ以外のビジネスパーソンにとってはなんだか面倒でマニアックな話が多いと感じられたと思います。

 ただし、やはり面倒でも自分たちのビジネス上の意思決定の結果を外部の利害関係者がどう見るかという大まかな仕組みは現場のビジネスパーソンであっても知っておく必要があります。正直現場の方は大まかな仕組みを知っておいてわからないところは経理の方に聞けばよいわけです。ただ、現実、知識がゼロだと全く気付かない、または何を経理に聞いてわからない、でも財務会計の本は基本的に経理の人向けでやたら分厚くて難しくて読めないということで極端な話をすると「生半可な知識」を得るための本が「現場で使える会計知識」です。

 ですから逆に、金融商品と年金会計でこのあたりは会社の経営成績に大きな影響を及ぼす可能性はあるのですが、現場のビジネスパーソンが何か対処できるようなことはほとんどありませんので財務会計としては重要なトピックですが全く触れていません。ということで最後はやや宣伝っぽくなりましたが、大きな書店などで「現場で使える会計知識」見かけたら手に取っていただければ幸いです。 

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