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富士フィルムのXEROX買収はうまくいくか?

2018.02.05 カテゴリ: M&A企業経営での留意点

富士フィルムがアメリカのXEROXを買収しました。すごく乱暴にこのスキームを言うと75%の支配権でアジア太平洋部門を持っていましたが、その支配権を50%超に下げる代わりに全世界の50%超の支配権をえたということです。現金支出は一切発生していないということですがXEROX本社が25億ドルの特別配当をしているので会計上は負担していないでしょうが、実質的には負担しているのではないかと思われます。

富士フィルムの財務諸表を見ると約2.3兆円の売上げのうちコピー機などの事務機器関連47%が医療機器などが39%でかつての事業だったカメラ等光学機器関連15%とまだまだ全体を引っ張っているのが富士XEROXを中心とする部門であることがわかります。ただ、営業利益率をみるとそれぞれ事務機器等7.6%, 医療機器等9.2%, 光学機器等10.8%で、事務機器関連の部門の低収益率が少し目立ちます。加えてこの分野は富士XEROXが扱うアジア・太平洋地域はまだまだ市場が伸びていますが、XEROX本体が扱っている欧米は市場としては成熟しています。

判断としては売上の半分は占めるものの低収益の事務機器部門を売却して小さいがスリムな会社にするか、XEROXを買収して全世界一体のビジネスとして徹底的に効率化するか非常に難しい選択になったと思われます。結局、後者の選択をとったと言えるかと思われます。そして1万人の人員削減を同時にアナウンスするというのは戦略として正しいかは外からは判断できませんが、統合のスピード感としては欧米グローバル企業並みで素晴らしいと思います。

そして1万人の人員削減をはアジア太平洋地域で行うようです。興味深いのは「アジア太平洋」であることです。もともと75%持っていたわけですから人員削減なども理論的には自由にできたはずですが、想像するにXEROX本社と富士フィルム本社双方が「忖度」して足踏みしていたのが今回の統合で一気に踏み出したのではないしょうか。私は終わってしまったM&A自体の成否よりも統合のスピード感とその内容が重要かと思います。スピード感はありそうですからどれだけ富士フィルムが業績不振のXEROXをよみがえらせるか、楽しみです。

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