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吉野屋の赤字転落をみて

2018.07.09 カテゴリ: 企業の業績分析企業経営での留意点

 第一四半期ですが吉野屋が赤字転落をしました。わりと外食で牛丼や立ち食いソバは多いので個人的には興味があります。新聞の記事をみるとほぼ決算短信の記載のとおりでした。たいてい新聞記者は決算資料や短信などを見て企業の広報部門などに電話してくるのですが、どの会社も財務部門などから想定問答をもらって決算資料や短信と整合性のない回答をしないように心掛けているのでほぼその通りになるのはある程度予想はつきます。

 今回対前年四半期比較で増収減益だったのですが短信の説明を簡単に言うと、増収は既存店売上高の上昇、減益は食材価格と人件費の増加です。対前年比でみると原価率が(34.7%→35.8%)で販管費率(63.7%→64.6%)とそれぞれ確かに上昇しています。確かにその通りかもしれません。

 しかし、実は原価率の上昇といっても実はざまざまな要因があります。一つは単純な原価率の上昇で例えば牛肉の仕入れ値があがったといったものです。もう一つの要因はミックス率で要するに原価率の高いものが売れてしまえば全体の原価率はあがってしまいます。少し説明を加えます

もしかりに牛丼しか売っておらず売上1億その原価率が30%だとします。しかしそこに魚定食原価率40%を投入し、牛丼の売上はそのままで、魚定食が同じく1億売上あがったとします。すると(3000万+4000万)÷2億=35%と原価率は上がってしまいます。

 今回吉野家は鶏すき丼と新豚丼およびあぶり鯖定食を新製品としてだしました。直観的には前2者は牛丼より原価率低く、後者は高そうなのでそのあたりでミックスした原価率を一定に保とうとしたと思われますが、実際それが既存店売上高では成功しても、利益という面で奏功したのかは明らかではないです。

 人件費も似たような話があります。確かに昨今の人手不足で人件費が高くなったのは確かだと思われます。しかし、一方で新製品の導入で生産性が低くなり売上高人件費率が高くなることも可能性があります。

 以上のように少し考えただけで会社が与えてくれたストーリーとは違う話結構つくることは可能です。顧問先企業の決算発表の場とかたまに出させていただくのですが、メディアの質問ではこのあたりあまり突っ込んだ質問される方あまり多くないのは少しつまらないですね。

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