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業績絶好調ワークマンに死角はあるか?

2021.09.01 カテゴリ: 企業の業績分析企業経営での留意点経営戦略

目次

1.コロナ禍でも絶好調なワークマン

 コロナ禍でもワークマンは絶好調です。有価証券報告書を見たところ、2017年3月期営業総収入520億円⇒2021年3月期1058億円と約2倍経常利益は107億から254億と2倍以上の成長、その間ずっと増収増益を続けています。

 ワークマンの好調の理由として、ワークマンは原価率65%だが利益率も高くて素晴らしいとよく言われます。私は、少しこの表現には違和感があります。原価率の高さとワークマンの業績は直接の関係性はないと思われるからです。 理由をお話します。ワークマンほとんどはフランチャイズがほとんどです。2021年3月期末では906店舗のうち861店がフランチャイズ、フランチャイズ率は95%です。原価率が高くても、要するにフランチャイズオーナー側が1品売った際の取り分が少ないだけともいえます。

 営業収入1058億のうち、フランチャイズ店からのロイヤリティ等が292億、主として加盟店に対する売上は767億、売上原価は640億 こちらの売上総利益は127億、併せて419億の粗利です。しかし、この粗利は原価率65%との直接の関係性はあまりありません。これを販管費営業収入費16.8%という極端に低い販管費率が支えています。要するにロイヤリティと加盟店への商品の販売で利益取って低い販管費で利益を取ればよいわけです。

 でもこれってフランチャイジーである加盟店を搾取して作ったのではないでしょうか?

 

2.ワークマンのフランチャイズ経営

 考え方によっては、フランチャイズのオーナ―は薄利多売で生かさず殺さずで、しっかりロイヤリティでとって栄えるのはフランチャーザーという残酷なモデルでも短期的には問題ないのです。ところがワークマンの素晴らしいところはおそらくこういった残酷なフランチャイジー搾取モデルではないところです。少し見てみましょう。
 

 残忍なフランチャイズモデルだと本部は高収益、しかし加盟店は年中無休で24時間働きづめでも年収300万程度といった残酷な話を噂レベルですがよく耳にします。一方、ワークマンの場合だいたい家族年収1000万くらいは十分可能で申し込み殺到という話はよく聞きます。本当にそんなうまい話はあるのでしょうか?

 ざっくり決算資料などから計算してみると加盟店の総収入は1370億あり2021年3月末で加盟店は861店あるので1店舗当たり159百万の売上があります。粗利35%ですが、本社から加盟店販売の際に8%程度のマージンがあるので加盟店のマージンは27%と仮定します。すると加盟店粗利は43百万 そこから1店舗当たりロイヤリティ29百万(含む家賃)差し引いても1400万残り、その他の経費除いても平均的な店舗で1000万程度の給与は取れそうです

 そういった意味では確かに共存共栄的なモデルかもしれません。でも死角はないのでしょうか?

3.ワークマンの死角

 よくワークマンは原価率65%と言われているのですが有価証券報告書からは読み取れないです。決算説資料のFACT BOOKを見ると店舗荒利率の推移が示されておりここで2021年3月期で36.1%で売上原価率は63.9%でおおむね65%であることがわかります。ただし2019年3月期の35.4%でそれからじりじりと荒利率は下がってはいます。この辺りは気になる点の一つです。さて原価率ですが一般的なSPAで原価率は40%、大手アパレルだと20~30%が原価率です。大手アパレル、流行ものが多いので売れ残りが出てバーゲンや廃棄が多量に出る一方一方特にSPAでユニクロなどはベーシックなものが多く在庫廃棄が少ないです。ワークマンの場合は流行ものは少ないので極端な話何シーズンも持っていても大丈夫なわけです。ただそれが過剰在庫で資金繰りを圧迫する可能性が出てきます。

 つまり死角としてはそのため棚卸商品回転日数が2019年3月末の63日から2021年80日へと大きくなっている、つまり在庫が増えているというのが気になる点です。当然加盟店も同じように在庫が増えていくと資金繰りが苦しくなるところが出てくる可能性はあります。在庫管理が今後の課題になるのではないかと思われます

 

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