ブログ

HOME > ブログ > 企業経営での留意点 > グローバルビジネス > 史記に見る中韓の歴史観と歴史からどう日本企業は学ぶか?

史記に見る中韓の歴史観と歴史からどう日本企業は学ぶか?

2019.09.02 カテゴリ: グローバルビジネスダイバーシティ経営企業経営での留意点社会問題

目次

1.歴史論争の奥にあるもの

 不謹慎と怒る方いらっしゃるかもしれませんが私個人にとって日韓問題のニュースは治りかけたかさぶたみたいに感じます。治りかけたかさぶた、なんだかかゆくなってきますが、かいてしまうと確実にまたかさぶたが破れて悪くなります。日韓問題がわりとネットをにぎわしていますが、載っているニュースは大抵不愉快なニュースで特に韓国の新聞の和訳を読むとタブロイド紙のような日本に対する罵詈雑言が多く取り上げられています。本当に一国の大統領が「盗人猛々しい」とか本当に言うのかしらと思いつつ、本来はこんな不愉快な記事は精神衛生上悪く、読まない方がいいのになんだか気になって読んでしまい、また不愉快な気分になるといったかさぶたをかいているようなわけです。

 さて、韓国の主張だと日本は過酷な植民地支配を行い、代表的な例として従軍慰安婦として日本軍が20万人を強制連行、徴用工として同じく20万人を強制動員・労働といったことが主なものだと思われます。また中国は南京大虐殺で日本軍が30万人近い人々を殺害したと主張しているようです。特にこの主張が正しいかどうかについては深く勉強しているわけではないので直接のコメントは差し控えます。

 ただし、中国および韓国の歴史はプロパガンダ的要素と独特の歴史観があるのではないかと思っています。独特の歴史観というのは現在の政権は前の勢力が暴虐で驕慢な行いをしたため、それを正すために生じた正義の政権であるといったものです。一つの例として史記を上げてみたいと思います。

2.史記と中韓の歴史観

 史記は司馬遷という漢の時代の大史令(歴史編纂室長とでも言うのでしょうか)が記した中國の初めから漢(全漢)の最盛期である武帝の時代まで記した中国でも第一の級歴史書として高い評価を受けている歴史書です。私は昔日本語訳でほぼ全巻を読破(一部占い関係などは何が書いてあるか意味が分からないので読んでいません)、この書は現代でも学べる部分たくさんありますし、文章も格調高く、非常に感銘を受けました。日本の歴史作家、司馬遼太郎さんがそのペンネームを尊敬する司馬遷からとった話は有名です。

 この史記で取り上げられている王朝は夏→殷→周→秦→漢ですが共通点があります。王朝の交代は最後の王が暴虐、重税で人民を苦しめぜいたくな暮らしをしているため正義の士が立ち上がり成立します。ストーリーとしておおむね暴虐で驕慢な政権が滅びて正義の政権がたつという予定調和です。その中には荒唐無稽と思われるものも交じっています。

 その中で特に有名なのが殷の紂王です。この王は「酒池肉林」と「炮烙の刑」で有名です。紂王は沙宮という離宮で酒で池を作って周囲の木に食肉をつるして林を作り、男女を裸にしてその中で追いかけっこをさせて昼から晩まで毎日のように酒盛りをしていたそうです。そして人民には、炮烙の刑というさかんにおこした炭火の上に油をぬった銅の棒をわたしてその上を歩かせ滑って火に落ちて焼け死ぬという残酷な刑を科していました。

 一方史記では紂王は非常にずる賢かったと書かれています。常識的にそんな賢い人間が酒池肉林といった愚かしい酒盛りを毎日のようにやっていたはずもなく、かなり盛っているなと感じます。司馬遷という一流の歴史家であっても自分の生まれる遥か昔のはなしですから残存する資料から記さざるを得ません。想像するに殷の後の周が自分の政権の正統性をアピールするため、かなり盛った(悪く言うとねつ造した)歴史書を残したのではないでしょうか。

 まとめると中国及びその影響下にある韓国の伝統として日本の支配は予定調和的に暴虐驕慢であるのは当然です。こうしてみると中国や韓国にとっては日本は殷の紂王のような存在かもしれません。

 中国の場合こういった歴史に基づく反日は自己の要求をとおすための手段でその裏には綿密な戦略がある気がします。ある意味、ヤクザの交通事故の脅しのようなものでタチが悪いですが変な感心をする面があります。ただし、やたらとそのカードを振りかざしすぎることのデメリットも十分認識してますからそのあたりよく言えば節度がある気がします。一方韓国の場合もともとは反日は自己の要求をとおすための手段だったかもしれませんが、暴走して反日という手段が目的化してしまったというのが現状ではないでしょうか。

3.日本企業は歴史から学んでいない!

 私は過去の植民地支配や中国への侵略を正当化するつもりはありません。ただ、歴史から学ぶというのは過去を反省するだけではなく未来どうするかの方が大切だと思っています。そういった意味で平和ボケと非難されても兵器の取得・使用などに強いブレーキがかっていたのは中国がこのような拡張主義ではなくかつ北朝鮮の脅威も大したことがなく、米軍の傘の下にいた時代は歴史から学んだ反戦の想いとしては正しかったと思います。しかし、現在の日本のブラック企業問題や出稼ぎ労働者に対する状況ー最低賃金以下で働かせる、パスポートを取り上げるといった行為ーを見ると、この点は歴史から全く学んでいない気がします。徴用工問題にしてもそもそも炭鉱労働自体過酷な労働だったと思いますし、現代の外国人労働者の取り扱いを見るとその状況からかなり過酷な条件で昔も働かせたのではないかと想像してしまいます(ただし、、日本人労働者と平等に過酷な労働条件だったのかもしれませんが)。

 一方従軍慰安婦問題というのは広く解釈すれば女性に対する人権問題です。そういった意味では日本は国際的な指数では女性の地位が低いことでは先進国で飛びぬけています。世界経済フォ―ラムのジェンダーギャップ指数では男女格差指数149か国中110位、英エコノミスト、ガラスの天井ランキングでは調査対象の先進29か国中28位です。女性の人権が重視されていないということでは国際的な定評が出来てしまっています。

 歴史戦で労働者と女性の権利で戦いを挑まれているのに、この状況ではある意味、歴史から学んでいないといえるでしょう。これから外国人労働者がどんどん国内に入ってくると思いますが、やはり過去の反省をもとに単なる消耗品でなく同じ人間として尊重するという精神は必要だと思います。女性問題もそれなら管理職比率を上げようと政府が音頭をとって無理やり女性管理職を増やすのではなく、女性も働きやすい仕事環境を作っていくという地道な努力も必要でしょう。

 そもそも中国韓国の歴史は基本的にはプロパガンダと独特の歴史観によるものですからきっちり「盛っている部分」については政府としては国際的にきちんと反論していくことが大事ですが、日本企業もヒトの権利(外国人や女性)にもしっかり目を配っていくことが長い目で見て歴史から学ぶことではないのでしょうか?

 

 

TOP